昨年末、ロサンゼルス・ドジャースと10年総額7億ドル(約1015億円)の超大型契約を結び、移籍問題にケリをつけた大谷翔平(29才)。しかし、そんな大谷の前に新手の“厄介な敵”が出現した。
大谷がドジャースのチーム強化の妨げにならないよう、総額7億ドルの契約金のうち、約97%に当たる6億8000万ドル(約989億円)を11年目以降の後払いにしたことは周知の通り。
地元カリフォルニア州の税制では収入の“無制限の繰り延べ”が認められている。つまり、後払いで給料をもらうことで、税金の支払いも先延ばしにできる制度だ。大谷はその制度を利用しただけなのだが、いまになって同州の財務当局がこの契約に“異議”を唱え始めたのだ。
同州の財務責任者、マリア・M・コーエン氏は9日、次のような声明を発表した。
《繰り延べに上限がないことは、所得の不平等を悪化させ、税の公平な分配を妨げている。この不均衡を是正するために、議会が早急かつ断固とした行動を取るよう強く求めたい》
この提言の背景について、在米ジャーナリストはこう話す。
「大谷選手が11年目以降に別の州に移住した場合、カリフォルニア州は約150億円の税収を失うとの試算があるのです。同州は現在、税収減にあえいでいるとされ、今回の提言はいわば“大谷狙いの後出しジャンケン”ですが、純粋にチーム強化を願って考え出された大谷選手の契約が、当局には巨額の節税行為に映ったのかもしれません」
カリフォルニア州の税率が全米でもトップレベルに高いことは、アメリカ人の間では広く知られている。
「ドジャースと大谷選手の争奪戦を繰り広げていた他球団の人気選手が、『こっちは(カリフォルニアより)渋滞がなく、税率が低い』と冗談めかして大谷選手に自軍への移籍をすすめたこともあるほど、ロスは渋滞と税金の高さで有名です。
大谷選手の契約は超異例ですが、今後、第二の大谷選手がいつ現れないとも限りません。収入を後払いにしたまま同州を離れていこうとする富裕層の動きに歯止めをかけたいという思惑から、大谷選手の契約が問題提起に利用されたのではないか。また、大谷選手がグリーンカードを所持しておらず、将来的に日本に戻り、日本で納税する可能性があることも懸念されたのかもしれません」(前出・在米ジャーナリスト)