安倍派の裏金問題では、同派幹部たちが「(キックバックは)会長案件だった」と責任転嫁し、逃げ切りを図ろうとしている。特捜部も「幹部の立件見送りを検討」と報じられた。“大山鳴動してネズミ2~3匹”では政治腐敗はなくならない。自民党大物OBが、政治家の“劣化”に怒りの声をあげた。
「政治資金収支報告書に書くと法律で決まっているのに、平気で法律違反を犯した議員に国会議員の資格はない。全員、議会から追放すべきだ」
そう声をあげるのは自民党総務会長や自治大臣、通産大臣を歴任し、現在も同党東京都連最高顧問を務める深谷隆司氏だ。88歳の大物OBの「喝」は痛烈だ。
「岸田(文雄)総理は政治刷新本部をつくって政治改革だなんだと言っているが、そうじゃないだろう。今回の問題は、派閥のパーティー収入は政治資金収支報告書に書くと決められているのに、それを書かずに裏金にしていた。明確な法律違反だ。こんなチンケなやり方で金を手にしようとするなど天下国家を語る政治家のすることではない。
私はTOKYO自民党政経塾の塾長を2018年務めていて、政治家志望の人たちに『君たちが政治家を志望するなら、国のために身命を賭する覚悟を持て』と教えてきた。国のために命を投げ出す覚悟と、安倍派の議員のみみっちく金を掠め取る姿は相容れない。長年、国家のために命をかけてきた政治家として、こんなケチ臭いことをやって政治不信を招くなどガマンができない。政治家が法律や制度に違反するのであれば、国会議員でいる資格はない。そんなヤツはどんどん摘発して議会から追放すべきなんです」
法律を破った責任を取れ
キックバックを受けた安倍派の議員たちは、「政治資金収支報告書に記載しないように派閥から指示された」と釈明し、収支報告書の訂正で責任を回避しようとしている。深谷氏はそうした姿勢を一刀両断にする。(以下、「 」内はすべて深谷氏)
「派閥のトップの立場からすれば、(キックバックの金額を派閥の収支報告書に記載すると)A議員にいくら、B議員にいくら渡したという差がわかってしまう。だから隠そうということになる。受け取る議員のほうも、派閥に言われて、それは好都合だと自分の報告書に載せない。しかし、『派閥に言われたから』というのは言い逃れにすぎない。法律で記載しなければならないと決まっているのに、法律より派閥の指示を優先したということだ。当然、その責任は政治家自身が負わなければならない。
この事件が発覚して、慌てて政治資金収支報告書を訂正した者もいるというじゃないか。5000万円近いキックバックをもらったうえに証拠隠滅を図った池田佳隆が逮捕されたが、少なくともあと2~3人は立件されるだろう。でも、その他の議員たちも、事件が発覚し、世間でこれだけ騒がれてから収支報告書を書き直して誤魔化そうなんてまともな政治家のやることとは思えない」