すでに道路は工事車両で混雑
ジャングリア近くの嵐山展望台から望む絶景
その一方で、近隣の飲食店店主はバイパスについて疑問を呈す。
「バイパスの構想なんて15年前からありますよ。でも、いまだにできてないんだから、今更できるとは思えませんけどね。農道に観光バスが走るなんて考えられないから、こっちの県道(84号線)がメインになるんじゃないんですか」
2025年開園に向けて、現在急ピッチで建設が進められている。ただでさえ、土日になると84号線は渋滞で交通麻痺しがちだが、工事車両が増えたことで生活道路を大型車両が駆け抜けていく。住宅街からジャングリアまで繋がる市道の道幅も生活道を過ぎると途端に狭くなる。一本道で車両がすれ違うのも困難で、それほど山間に位置する。
「年寄りが起きる日の出から、もうトラックが走ってますから。朝早くから深夜遅くまで工事をやってますよ。私たちにも説明はほとんどなかったです。『何のテーマパークをするのか、まだ決まっていない』と言って、関係者は教えてくれなかった。私たちも報道で知ったぐらいです」(前出の40代女性)
今回の取材では交通渋滞への不安が多く聞こえた。しかし、それ以上にどの住民も「この地の魅力を知ってもらいたい」と期待している声があがっていたのも事実だ。
「海の側じゃないから沖縄のゴルフ場の良さがないと言われたけど、実は凄く絶景だったんですよ。山の上にあるから屋我地島や古宇利島が望めて、そりゃ綺麗です。場所として抜群ですよ」(80代の男性)
建設が進むジャングリア近くの嵐山展望台から望む光景は、美らブルーの海辺に沖縄の島々が浮かぶ。山深い頂に建設されるジャングリアからも、この絶景が展望できるかもしれない。
開園により、北部観光に大きな期待が寄せられているのは紛れもない事実だ。交通網の整備という喫緊の課題を行政はどう解決に導くのか。事業者ともにその手腕が問われている。
■取材・文・写真/加藤慶(フリーライター)