テレビを通じてフェイクドキュメンタリーを知らしめた伝説のドラマ3部作「山田孝之シリーズ」(テレビ東京)。3作目は山田孝之が生放送のスタジオから視聴者に元気を送る『緊急生放送! 山田孝之の元気を送るテレビ』だ。第2回に続き、映画監督の山下敦弘氏と放送作家の竹村武司氏に制作裏を訊く。
聞き手は、『1989年のテレビっ子』『芸能界誕生』などの著書があるてれびのスキマ氏。現在、ネットで話題のフェイクドキュメンタリーに意欲的に取り組んでいるテレビ番組の制作者にインタビューを行なう短期シリーズの第5弾【全3回の第3回。文中一部敬称略】。
* * *
ユリ・ゲラーの再現を生放送で挑戦
『山田孝之の東京都北区赤羽』『山田孝之のカンヌ映画祭』とフェイクドキュメンタリードラマで話題を生んだ主演・山田孝之、構成・竹村武司、監督・山下敦弘&松江哲明のチームは、今度は『緊急生放送! 山田孝之の元気を送るテレビ』(2017年、テレビ東京)というバラエティ番組の体裁の生放送を敢行する。これは当初、『山田孝之の演技入門』と題した番組だと事前にアナウンスされていたが、急遽変更したという体裁で放送された。
引き続き、竹村武司・山下敦弘に話を伺った(取材はそれぞれ個別でおこないました)。
「『元気を送るテレビ』は、『カンヌ』でフランスに行って収録しているときに、4人で次どうしようかと話している時に出た企画ですね。もうドキュメンタリードラマという形はやりきった感があったんですよ。
それで、みんなが影響を受けたテレビ番組の話をしている時にユリ・ゲラーの話が出てきたんです。ユリ・ゲラーもある種、フェイクドキュメンタリーじゃないですか。『時計が動きます』って言ったら、ホントに動きましたという報告が来る。そういうのをやろうと。だから生放送ありきの企画ですね」(竹村)
放送中、山田孝之は「元気」を送ることに集中し、一言も発しない。すると視聴者から「寝たきりのおばあちゃんが元気になりました」「引きこもりだったけど外に出かける勇気が出ました」「四十肩が治った気がする」などと続々と“報告”が寄せられるのだ。