急にイライラしたかと思えば、しょんぼりしたり、はたまた突然上の空──なんだか最近夫の様子が変。もしかしたらその不調は「男性更年期障害」かもしれない。妻が知っておきたい変化と、夫婦で乗り越える方法とは。
「健康には自信があった」。かつてテレビ番組でそう語った長嶋一茂(57才)。『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日系)では毒舌をまき散らし、ハワイ旅行のために『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)を欠席することもしばしば。さぞかし自由気ままで楽しい人生を歩んでいるのだろうと思いきや、悲愴な告白が波紋を呼んでいる。
「ぼく、40才で若年性更年期障害になっています」
一茂がそうカミングアウトしたのは、1月19日放送の『モーニングショー』でのことだ。更年期障害を特集する中で自身の発病を明かし、「老化の症状のひとつと思ってしまう人もいるけど、実は隠れ更年期障害ということもある」と警鐘を鳴らした。
一茂が表に見せない顔、そして彼を苦しめた男性更年期障害とは──都内に住むTさん(56才/女性)の1つ年上の夫は3年ほど前、仕事中に激しい眩暈に襲われ立つこともままならなくなり、救急搬送された。しかし検査の結果は異常なし。仕事疲れが原因だろうと軽く考えていたら、異変が続くようになった。Tさんが話す。
「ふとしたタイミングで手が震え、眩暈や耳鳴りの症状が出るようになり、夜中に汗をびっしょりかいて眠れないことも。いくつか診療科を受診しましたが、原因が特定できず、夫はイライラが募って私に当たるようになり家庭内は常にピリピリした状態に。優しかった夫が別人のようになってしまいました」
原因不明のまま1年ほど悩まされたのち、夫の姉から「男にも更年期があるみたいよ」と聞かされ、その症状をインターネット検索すると、思い当たるものばかりだった。
「男性にも更年期があるなんて知らなかったので驚き、すぐに専門医を受診させました。すると男性更年期障害と診断され、その後、専門的な治療が始まりました」(Tさん)
女性の更年期障害は、女性ホルモン「エストロゲン」が減少する40代前半から50代後半に発症する。閉経前後のためわかりやすく、社会的な認知度も高い。
「一方で男性の更年期障害は起こる時期や症状などに個人差があり、あまり知られていないのが実情です」
こう語るのは、日本初の男性更年期外来「メンズヘルス外来」を立ち上げた順天堂大学教授の堀江重郎さんだ。
「男性更年期障害になると心身にさまざまな不調が生じます。主な症状は、ほてり、発汗、動悸、筋肉痛や関節痛、性欲の低下、集中力や記憶力の低下、イライラするなど。女性と比べて年齢幅が広く、30〜40代のまさにこれからが働き盛りの世代でも、また一方では70〜80代でも起こる可能性があります」(堀江さん・以下同)