国内

岸田文雄首相が多用する「思っている」「感じている」「考えている」「議論する」 オプション選好性の現れか

衆院本会議で施政方針演説する岸田文雄首相(右)。1月30日(時事通信フォト)

衆院本会議で施政方針演説する岸田文雄首相(右)。1月30日(時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップするNEWSポストセブンの連載。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、岸田文雄首相の施政方針演説の語尾からのぞく、決められない気持ちについて。

 * * *
 首相が「経済」と言えば、野党が「裏金!」とヤジを飛ばずこと続けて3回。まるで歌舞伎の舞台でかかる合いの手のような絶妙のタイミングに噴き出してしまった。1月30日に行われた衆院本会議の施政方針演説で、岸田文雄首相が経済を強調した時のことだ。

 施政方針演説は、首相が今年一年の内閣の基本方針や政策について訴えるものだ。だが、冒頭から衆参両院で野党から激しいヤジが飛び交った。首相が「国民の信頼なくして政治の安定はありません」と言うと、「誰が信頼失ってるんだ!」。ヤジが飛び、首相が「その信頼が揺らいでいる」と言えば「誰のせいだ!」と非難の声が響く。普段はうるさいだけのヤジだが、今回ばかりは「その通り!」と言いたくなった。

 ヤジを飛ばされた当の首相は、ヤジに負けじと演説内容が書かれた書面を読みあげるのに必死だ。かといってその内容に何ら目新しいものはない。「国民の信頼回復を果たして、政治を安定させ、そのうえで重要政策を実行してまいります」と、これまで何度となく聞かされてきたような文言が右から左へ流れていくのみ。これといった具体的な策が打ち出されることもない。派閥のパーティーにかかる裏金疑惑に対し「政策集団がお金と人事から完全に決別することを決めました」と述べたが、「実態を明らかにしろ!」と的を射たヤジが飛ぶ。

 岸田首相が就任してから2年4か月。過去の発言を振り返ると、首相が多用する語尾がわかる。「思っている」「感じている」「考えている」「議論する」「議論を深める」に「取り組んでいく」。感じた後にどうするのか先がない。「とりまとめていきたい」「しなければならない」「深刻に受け止めなければならない」「取り組んでいかなければならない」という言い方もよく使われる。いかにも決意を表すような前向きの言葉だが、それで何をするのかわからない。さらにはこの~しなければならないに、思っている、感じている、考えているがくっつくことも多く、思っているだけか!考えているだけなのか!と突っ込みたくなる。

関連記事

トピックス

小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
中日ドラゴンズのレジェンド・宇野勝氏(右)と富坂聰氏
【特別対談】「もしも“ウーやん”が中日ドラゴンズの監督だったら…」ドラファンならば一度は頭をかすめる考えを、本人・宇野勝にぶつけてみた
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《体調不良で「薬コンプリート!」投稿》広末涼子の不審な動きに「服用中のクスリが影響した可能性は…」専門家が解説
NEWSポストセブン
いい意味での“普通さ”が魅力の今田美桜 (C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
朝ドラ『あんぱん』ヒロイン役の今田美桜、母校の校長が明かした「オーラなき中学時代」 同郷の橋本環奈、浜崎あゆみ、酒井法子と異なる“普通さ”
週刊ポスト
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”川崎春花がついに「5週連続欠場」ツアーの広報担当「ブライトナー業務」の去就にも注目集まる「就任インタビュー撮影には不参加」
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
広末涼子、「勾留が長引く」可能性 取り調べ中に興奮状態で「自傷ほのめかす発言があった」との情報も 捜査関係者は「釈放でリスクも」と懸念
NEWSポストセブン
筑波大の入学式に臨まれる悠仁さま(時事通信フォト)
【筑波大入学の悠仁さま】通学ルートの高速道路下に「八潮市道路陥没」下水道管が通っていた 専門家の見解は
NEWSポストセブン