フリマサイトやアプリで、違法な偽造品をせっせと作って売る人たちがじわじわと増えている。彼らは偽造品の専売業者ではなく、仕事をしたり友だちと遊んだりする日常を普通に送る人たちだ。普通の人たちのはずなのだが、罪悪感を誤魔化すためなのか、自分勝手な正当化の理屈をたてに異常な金儲けをやめようとしない。ライターの宮添優氏が、大谷翔平偽グッズなど偽造品を扱う“副業”を身近な人が始めたことで長年の人間関係が壊れてしまった人たちの苦悩を聞いた。
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プロスポーツ史上最高額の「10年7億ドル(約1015億円)」で米大リーグ、ロサンゼルス・ドジャースへの移籍を果たした大谷翔平選手。日本中の小学校にグローブを寄贈するなど、そのスケールは何もかもが規格外で、野球人口の少ないヨーロッパ諸国でも「野球はよくわからないがオオタニは知っている」という人が存在するほどだ。もはや、その知名度や人気は他を圧倒するものがあるが、そんな状況に便乗する不届きものも相次いでいる。全国紙社会部記者が解説する。
「大谷選手や、かつて所属していたエンゼルスの球団ロゴを偽造したTシャツなどを販売目的で所持していたとして、神奈川県警が静岡県在住の男を逮捕しました。Tシャツは数千円程度と高くは無かったものの、2023年までの3年間での売り上げは約660万円にのぼっている。相当な数を販売しており悪質、とうことで検挙に至ったようです」(全国紙社会部記者)
偽造ユニフォームはネットオークションサイトやフリマサイトを通じて全国の客に販売されていたというが、こうした不届き者は逮捕された男だけではない。
「副業」で羽振りがよくなった友人
都内在住の公務員・古橋祐子さん(仮名・40代)が、あまりに身近にいたことに驚いたと打ち明ける。
「仲のよかった友人が最近、持ち物がブランド品ばかりになったり、食事に行っても全額を出してくれるようになったり、かなり羽振りがよくなったんです。聞けば”副業”をしているのだと。友達だから私だけに、と教えてくれたのは、大谷選手のグッズ販売だったんです」(古橋さん)
友人が見せてくれたのは、大谷選手のユニフォームを模したキーホルダー。友人はスポーツとは無縁で、まして、野球など全く興味が無かったはず。さらに突っ込んで話を聞くと、驚愕の事実が判明した。
「友人は、大谷選手のユニフォームの柄や背番号をパソコンとプリンターを使って紙に印刷し、それをプラスチックの型に入れてキーホルダーにして販売していました。もちろん、大谷選手や所属球団の許諾など得ていない。勝手にそんなの作っていいの? と聞くと”みんなやってるから”と苦笑いはするものの、悪びれる様子はありません。普通に犯罪ではないかと思い指摘しましたが、フリマサイトなんてそんなものだし、暗黙の了解なのだと繰り返すばかり」(古橋さん)