甚大な被害をもたらした能登半島地震は、1つの疑問を投げかけた。「地震が起きたらテーブルの下に身を隠せ」──幼い頃から聞かされてきたこの行動は、本当に正しいのだろうか。
今回の地震で亡くなった人の9割近くが家屋倒壊による、圧死や窒息死とみられる。揺れを感じてすぐに自宅から飛び出したことで助かり、一方で自宅に残った家族が犠牲になった──というケースもあった。巨大地震発生時に取るべき行動について、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんが解説する。
「テーブルの下への避難が有効なケースはもちろんありますが、揺れを感じたときの状況で行動は変わってきます。倒壊の可能性がある自宅で強い揺れを感じたら、圧死を避けるためにすぐ外に出ることを考えてください。テーブルの下に隠れる“余裕”があるのならば、避難経路となる廊下や玄関に転がり込むような形ででも移動しておいた方がいい。そうすれば揺れが収まったタイミングですぐに避難できます」
地震は倒壊や土砂崩れなどを引き起こす。揺れが収まってから逃げる準備をしたのでは、もう遅い可能性があるのだという。東日本大震災では約180秒間揺れ続けたが、今後起きるといわれる南海トラフ地震も“揺れる時間”は同程度だという。ただし、この時間、ずっと同じ震度で揺れているわけではない。
東日本大震災において、最大震度6弱を観測した福島県いわき市では、全体で震度4以上が約190秒続いたが、その中で震度5強以上の揺れは40秒ほど。気象庁によれば、「立っていることが困難になる」のは震度6弱以上とされる。つまり、震度4程度なら移動することは可能といえる。
昨今の巨大地震の教訓として、“揺れの中でどう避難するか”を考えることも重要だ。阪神・淡路大震災(1995年)の発生時刻は午前5時46分で、被害者の中には、就寝中で逃げ遅れた人が多かったという。
「寝込みを揺れに襲われれば、すぐに避難できない人がほとんどでしょう。そのときはまずは部屋の隅に頭を枕でガードしながら移動してください。部屋の隅には柱があるので、万が一、倒壊しても空間が生まれる可能性がある」(和田さん・以下同)
スーパーや量販店で買い物中に地震が発生したらどうすべきか。