2021年衆院選前に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体から推薦確認書に署名したと報道された盛山正仁文部科学相(時事通信フォト)

2021年衆院選前に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体から推薦確認書に署名したと報道された盛山正仁文部科学相(時事通信フォト)

 能力は専門的な知識や経験、権威であり、動機づけは公正さや誠実さ、努力や行動などに対するモチベーションであるが、肝心なのはそこに「認知」がつくことだ。そうみなしていいのか、それで任せていいのか相手に認知させることが必要になる。さらに中谷内氏の研究の結果、信頼の形成に重要なのは価値の共有だということがわかっている。同じ方向を向いているのか、何が大事なのか、自分たちと意見や見方が一致しているかが認知されなければ、信頼は形成できないというのだ。

 首相をはじめ閣僚や党幹部の能力をとやかくいう気はない。だが度重なるトラブルや不祥事の対応に公正さや誠実さは感じられず、動機付け認知は低い。価値共有認知となればもはや底辺スレスレだろう。首相や自民党が世間と違う方向を向いているのは裏金疑惑だけではない。2021年の衆院選で、盛山正仁文部科学相が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体から推薦状を受け取っていたというではないか。旧統一教会の解散命令請求を控える所管閣僚がそこから推薦状をもらっていたというのに、本人も辞任せず、岸田首相も盛山氏の更迭を否定。首相が更迭しないのは毎度のことだが、「信頼を回復するには、早めに監視と制裁体制を申し入れるべき」と中谷内氏はある講演で述べている。

 だがそもそも回復できるような信頼があるのか、そこが疑問だ。

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