芸能

《絶景に反響》長崎、京都、富士、ウィーン…果敢な遠方ロケに挑むドラマが増えた理由

(番組ホームページより)

『君が心をくれたから』は長崎ロケに注目が集まる(番組ホームページより)

 今季の冬ドラマでは、長崎、ウィーンなど、テレビ局の拠点である関東を離れた遠方でロケが行われた作品が多い。なぜ「遠方ロケ」の作品が増えたのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 今冬ドラマは、ファンタジーラブストーリーの『君が心をくれたから』(フジテレビ系)、父と娘の関係を描いた『春になったら』(カンテレ・フジテレビ系)、学園サスペンスの『マルス-ゼロの革命-』(テレビ朝日系)、医療の『となりのナースエイド』(日本テレビ系)、ミステリーの『グレイトギフト』(テレビ朝日系)、時代劇の『大奥』、タイムスリップコメディの『不適切にもほどがある!』(TBS系)、音楽の『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(TBS系)など、さまざまなジャンルの作品がそろいました。

 ジャンルがわかれたことのメリットは、視聴者が好きなタイプのドラマを選んで楽しめることですが、今冬のラインナップを見ると、「内容に合わせたロケが行われ、映像にこだわった作品が多い」ことに気づかされます。

 なかでも目立つのは、関東を離れた遠方ロケ。主なところでは、『君が心をくれたから』の長崎、『大奥』の京都、『新空港占拠』(日本テレビ系)の仙台、『さよならマエストロ』の富士とウィーンなどの遠方でロケが行われ、美しい景色が映るたびに反響の声があがっています。

 その他の作品でも、家族ドラマ『春になったら』の第2話・3話で、余命3か月の父とそれを知った娘が伊豆旅行するシーンで下田ロケが行われ、視聴者の感動を誘いました。また、『Eye Love You』(TBS系)で主人公が海での事故をきっかけにテレパスになるシーンで北海道ロケを行うなど、重要なシーンでの遠方ロケが見られます。

 なぜ撮影の移動の手間や時間、制作費などの負担が増すにもかかわらず、今冬ドラマはロケにこだわった作品が多いのでしょうか。

美しいロケーションが必要な理由

「今冬ドラマの中で最も映像が美しい作品」と見られているのが、『君が心をくれたから』。

 同作は「主人公の逢原雨(永野芽郁)が最愛の人・朝野太陽(山田裕貴)を救うために五感を差し出す」というファンタジー作で、雨が「1つずつ五感が失われる」という悲劇に見舞われながらも太陽への一途な思いを貫く、ピュアで切ない純愛が描かれています。

 その「ファンタジー」「悲劇」「純愛」という世界観に合うロケーションが、ノスタルジックかつ異国情緒あふれる美観の街・長崎。大浦天主堂、長崎水辺の森公園、眼鏡橋、グラバー園、結の浜マリンパーク、九十九観光公園、長崎孔子廟、ハウステンボスなど、長崎を代表する観光スポットでロケが行われ、その他でも、坂道、電車、ランタンなどの長崎らしい風景を生かした映像が見られます。

「スタッフが2か月かけて150近くのスポットをめぐってロケハンし、1か月かけて撮影を行った」そうですから、いかに『君が心をくれたから』にとってロケーションが重要なのかがわかるのではないでしょうか。実際、魔法がかかったような幻想的な景色はこの作品の世界観にピッタリであり、雨と太陽の恋模様を盛り上げるとともに、「五感を失う」という重い設定をやわらげる効果も担っています。

 同作はオリジナルですが、主に演出家の松山博昭監督がこだわっているのは、「文字の小説や絵の漫画にはない映像作品ならではの美しさをいかに伝えるか」。だからこそ各話の印象的なシーンは必ずと言っていいほど、前述した美しいロケーションを背景に撮られていますし、それは『君が心をくれたから』だけでなく、遠方ロケに挑んでいる他の作品も同様なのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
NHKが、今年の出演者の目玉と期待したSnow Man(時事通信フォト)
《Snow Man、B’zの名前なし…》紅白歌合戦、目玉候補に次々と拒絶されNHK局全体がどんより 中森明菜は特別企画で出場に期待
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
1人4万円「定額減税」を確定させる年末調整の要注意ポイント 「妻の収入が増減」「中学生以下の子供がいる」場合は“記載漏れ”で受けられないケースも
1人4万円「定額減税」を確定させる年末調整の要注意ポイント 「妻の収入が増減」「中学生以下の子供がいる」場合は“記載漏れ”で受けられないケースも
マネーポストWEB