治療の基本は抗凝固剤を用いて血液をサラサラにすることだ。抗凝固剤のワーファリンが長年使用され、効果を発揮してきたが、使用方法が難しく、池田医師が説明したように、数年前にDOACという新しい抗凝固剤が開発、患者に対し、適切な服用治療を行なっている。
「それでも血栓が完全に溶けず、肺動脈にこびりつき、肺高血圧症(CTEPH)になることもあります。見落とすと重症化して死亡するケースもあるので、注意が必要です」(池田医師)
2000年以降ではe-スロンボーシス(e血栓症)といって、パソコンなど一日中座りっぱなしのゲームや仕事中に血栓症を起こす例もみられるという。
避難所だけではなく、普段の生活にも血栓症は潜んでおり、肝心なのは適時に水分を摂り、適度に脚を動かすことで、それが予防にも繋がる。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2024年2月23日号