老舗アウトドアブランド企業「スノーピーク」が話題になっている。2023年12月期の連結決算は、純利益が前期比99.9%減の100万円だったことを発表した。売上高ほか各利益すべてで業績予想を大きく下回った背景には、アウトドア専門店の急増やキャンプ需要の減少などが挙げられるという。そんな状況のなか、社内では早くも前社長の待望論が浮上していた──。
新潟県三条市に本社を置く「スノーピーク」。1958年に創業し、長年にわたってキャンプ用品を扱ってきた大手アウトドアメーカーである。2014年にはアパレル部門「スノーピークアパレル」が立ち上がり、新規事業を拡大させてきた。同部門の立ち上げから関わり、同社の事業拡大に貢献してきたのが山井梨沙前社長(36)だった。
「梨沙さんは新潟県の高校を卒業後、18歳で上京し、文化ファッション大学院大学に進学しました。国内アパレルブランドでデザイナーアシスタントを務めたあと、2012年に祖父、父から代々続くスノーピークに入社。持ち前のバイタリティですぐに頭角を現し、2019年に代表取締役副社長となりました。2020年には社長だった父親の山井太氏が後継者として当時32歳の梨沙さんを指名しました」(スノーピーク関係者)
創業家3代目として優れた手腕で成果を残してきた山井梨沙前社長は、根っからのキャンプ好きだった。
「キャンプデビューは生後6カ月で、中学入学まではほぼ毎週のようにキャンプをしていたそうです。自由でオープンな性格で、歴代の彼氏を全員、父親に紹介していました。社内では大きな声で父親と意見を言い合うこともよくあり、はっきりとした性格の女性です」(同前)
しかし、社長就任から2年半経った2022年9月。既婚男性と交際・妊娠していることを公表し、社長職を辞任することに。社長には、会長を務めていた父・山井太氏が再就任した。妊娠を公表した理由を別のスノーピーク関係者はこう打ち明ける。
「音楽フェスやDJイベントに頻繁に足を運んでいた梨沙さんは、腕などにタトゥーを彫り入れていたため、社長就任時はネットで騒がれたこともありました。我が道を進む彼女でしたが、30代を過ぎた頃からは周囲に『子どもがほしい』と打ち明けていました。早々に自ら妊娠を公表して辞任を申し出たのは、『授かった子どもを絶対に産みたい』という彼女の決意の表れだったと思います。現在は未婚の母として子育てをしているそうです」