臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップする連載。心理士の視点から、5年ぶりの来日公演が大きな注目を集めたテイラー・スウィフトとその政治・経済に及ぼす効果について。
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2月に入ってから”もしトラ”というフレーズを度々耳にする。何かと思えば”もしもトランプ氏が再選すれば”の略だという。2024年11月に行われるアメリカ大統領選、共和党候補指名争いはトランプ氏が独走態勢になり、元ライバルたちは次々とトランプ支持を表明。もしトラが現実味を帯びつつあるが、トランプ氏がその動向をかなり気にしているのが、世界的な歌手であるテイラー・スウィフトさんだ。
2020年の大統領選で、バイデン大統領支持を表明されたのがかなりの痛手になったのだろう。2月11日には自身のSNSでスウィフトさんを名指し、再選を目指すバイデン大統領を彼女が「支持するはずがない」と投稿。トランプ氏が大統領在任中に音楽業界の著作権の規定を改めた法律を成立させたことに触れ、「彼女に大金を稼がせた男に不誠実になれるわけがない」とけん制した。トランプ氏が恐れているのはメディアがそう呼ぶ”テイラー・スウィフト効果”だ。
インスタグラムのフォロワーは2億8千万人、昨年9月に自身のSNSで有権者登録(※米国ではあらかじめ選挙管理委員会に申請しないと投票できない)を呼びかけると、新規の登録者が3万5千人もあったというスウィフトさん。米誌ニューズウィークなどが1月に行った世論調査では、回答者の18%が「大統領選でスウィフトさんが支持する候補に投票する」と答えているだけに、彼女のコメントは影響力大だ。トランプ氏としては今度の大統領選に水を差されたくないだろう。
実はこの効果、元はスウィフトさんによる経済効果のこと指していた。5年ぶりに来日した彼女は2月7日から10日までの4日間、東京ドームで公演を開催。ファンらにとって待ちに待った公演の経済効果は341億円、8か月60公演を行った全米ツアーでの経済効果はなんと1.5兆円と試算され、米国内総生産(GDP)まで押し上げたという。これだけの経済効果を生み出す経済現象は”スウィフトミクス”といわれ、米ハーバード大学で彼女に関する講義ができるなど研究対象にもなり始めている。スウィフトミクスの現象がそれだけ多岐に渡るからだろう。