多くの女性を悩ませる「膝痛」「股関節痛」。しかし「痛みがある」と一口に言っても、どの程度つらいのか、生活するうえで何がネックなのか、悩みや症状は人によってまったく違う。あなたに合った治療を受けるためには、どのようなポイントに注意すれば良いのか? ジャーナリスト・鳥集徹氏と『女性セブン』取材班が、前編では膝痛、後編では股関節痛についてレポートします。【前後編の前編】
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100才まで生きることが夢物語ではなくなりつつある。“超長寿社会”において健やかに生きるために必須なのは、「ぎりぎりまで自分の足で歩くこと」だ。しかし、その要となる「膝」と「股関節」は女性にとって大きなウイークポイントでもある。
実際、膝の痛みの原因となる「変形性膝関節症」は男性の4倍、股関節の痛みの原因となる「変形性股関節症」も3倍の割合で女性患者が多いとされている。読者の中にも整形外科に通い、投薬などで痛みを取る治療を受けている人や、人工関節の手術を検討している人がいるだろう。
とはいえ、医師の経験や腕によっては、投薬を続けても一向に症状が緩和されなかったり、手術を受けても満足のいく結果にならなかったりする可能性もある。生涯、支障なく歩ける能力を維持するためには痛みの予防を心がけるとともに、あらかじめどんな医師にかかり、どのような治療を受けるべきかを知っておくことが大切だ。
そこで、本誌『女性セブン』では膝及び股関節の名医に取材して、それぞれの痛みへの適切な対処法について解説してもらうとともに、信頼できる専門医を推薦してもらった。“生涯現役”を体現するための参考としてほしい。
膝に負担をかけない「ながら運動」
中高年の膝痛の主な原因である「変形性膝関節症」は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)が接する部分にある軟骨が加齢とともにすり減り、骨が変形することで起こる。痛みに加え、脚の内側の骨が潰れることでO脚になってしまう人も多い。膝の治療を専門とする整形外科医、あんしん病院院長の水野清典医師が解説する。
「なぜ女性の方が変形性膝関節症になる人が多いのかを含め、疾患と患者さんの属性の相関関係については明らかになっていない部分も少なくありません。しかし1つ確実なのは、肥満は膝痛のリスクを上げるということです。そのため、当院では肥満傾向のある人には食事や運動など生活習慣を見直してもらい、体重を落とすよう指導しています。5kg減らしただけで、膝の痛みが緩和される人はたくさんいます」