11月の米大統領選に向け、ドナルド・トランプ前大統領(77)が予備選での快進撃を続けている。もしもトランプ氏が大統領に再選したら(もしトラ)、日本の政治にはどんな影響が予想されるのか。
世論調査で人気の高い候補は軒並み“脱落”か
トランプ復活の勢いは、日本政界の次期首相レースにも影響を与えている。トランプ氏と渡り合って国益を守れそうな人物は誰なのか。
再登板を前提にすると、世論調査で人気の高い石破茂・元幹事長をはじめ、上川陽子・外相、林芳正・官房長官らの有力候補は軒並みレースから“脱落”しそうだ。
異文化コミュニケーション論が専門で、トランプ政治も研究している海野素央・明治大学政治経済学部教授は、心理学の立場からトランプ氏との交渉をこう分析する。
「トランプ氏の政治手法は、ディール(取引)、脅し、圧力の3つです。その考え方はアメリカファーストというより自分ファースト。そのトランプ氏のパーソナリティを見ると、『非言語』のアピール力に長けている。象徴的なのが握手。トランプ大統領が安倍総理と初めて握手した際、手をギュッと握り、さらにその手を捻ったことで、安倍総理は痛みの表情を浮かべていました。
俺のほうが強い、上だということを態度で相手に示すわけです。日本のトップには、国益のために、こうした高圧的な態度を撥ねつける精神力、気力が求められる」
石破氏、上川氏、林氏の3候補はトランプ氏とかみ合わない可能性があるという。
「石破さんはトランプ氏にとっては表情が読みにくいのが気になります。米国人は表情から相手を読もうとする。ディールの時には重要です。上川さんは生真面目なタイプの政治家に見える。変わり者的なトランプ氏とは相性がよくないのではないか。林さんは英語が堪能で国際経験も豊富だが、トランプ氏の圧力に耐えられるかは未知数。
上川さんも林さんもゼレンスキー大統領と会談するなどウクライナ戦争にかかわってきたが、トランプ氏が大統領になれば米国はこれまでのウクライナ政策をすべて覆しかねない。バイデン政権と協調してきた政治家をトランプ氏がどう評価するかも気になる」(海野氏)