SNSで拡散の同調者が罪に問われる可能性は?
元従業員が店長に報告したのは画像にある通りかもしれないが、そこからいきなりXに投稿したことが問題だという。
大阪王将のプレスリリース(2022年7月27日)によると、投稿による騒ぎを受けて、翌25日には保健所が調査に入り、ナメクジ等の害虫がいなかったことが確認されている。食品衛生管理に関する指導は入ったが、営業停止などの厳しい処分には至っていない。もちろん、ネットで騒ぎになった時点で店側が急いで清掃・駆除をした可能性は否定できないが、保健所の調査で出なかった以上、大量発生の証拠がなければ、業務妨害と受け取られても仕方がないということだ。
しかも元従業員の一連の投稿によって、運営会社が被った被害は甚大である。フランチャイズ契約で仙台市内に2店の大阪王将店を経営していた運営会社は、この事件で契約を解除され、両店とも閉店を余儀なくされた。保健所の指導があったように、いくらか不衛生だったのは事実と考えられるが、食中毒を引き起こしたわけでもないのに、2つの店が潰れたのである。
「元従業員が明確な証拠を持っており、公益通報の目的があったと認められるような場合には、業務妨害の故意ありとまで言えるかは微妙です。仮に公益通報の目的が認められず、嫌がらせ目的であるとしか思われないような場合には、刑事責任のみならず、民事責任も負わなければならない可能性があります。
ただ、刑事で不起訴になったとしても、民事で損害賠償を請求される可能性はあります。本来なら得られるはずだった店の収益が失われたわけですから、必然的に請求額は大きくなり、1000万円以上にはなるでしょう」(笠置弁護士)
騒ぎが大きくなったのは、元従業員の一連の投稿に同調して、大阪王将をSNSで批判していた人々がいたから。こうした同調者も罪に問われたり、損害賠償請求されたりする可能性はあるのか。
「程度にも寄りますが、投稿を信じてリツイートしただけであれば、不法行為とまでは言えないでしょう」(笠置弁護士)