仲間同士でも本心を明かさない政治劇の側面を持つ(c)テレビ朝日・東映AG・東映

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ジェンダーギャップは悪意で生まれているわけではない

 セリフと言えば華麗なキャラクターであるヒメノ(村上愛花)を始めとして、女性キャラがいわゆる“女言葉”をほとんど使わないのも特徴だ。

「自分が女言葉を使う人にリアリティを感じにくいというのが大きくて。こういうのは男の自分が言うと『何言っているんだ』って言われるかもしれないんですけど、今の僕くらいの世代の女性に対する感覚って、そうだと思うんですよ。

 ヒメノ様のような気高い人もいるし、リタ(平川結月)のようにジェンダーニュートラルな人もいる。逆にスズメちゃん(加村真美)みたいに、精神的にすごく強いけど誰か大好きな人のお嫁さんになりたい人もいるし、モルフォーニャちゃん(長谷川かすみ)のように、罪人の子供だけど裁判長になれるって証明したい人もいる。僕としてはすごく意識して頑張って書いていると言うより、僕の中の世界がそうなんですよ。だから至極自然なことなんです。

 良い悪いを超えた世代間での感覚のギャップってどうしてもあって、悪意とかじゃないんですよね。以前、ある番組を作ったとき、スタッフのほとんどが年上の男性だったんですよ。そしたら、『男の人が若い女の人に教えるって形でいいよね』って、自然な流れで番組の大枠が決まりかけたんです。そこに『女ってバカだから。ハハハ』なんて悪意はないんですよ。でも、男が女に教えるものという意識がついてしまっている。その場にいたディレクターは若かったけど立場もあって何も言えない。僕も若いペーペーだったけど、脚本家って外様で、良くも悪くも“先生”で、違和感を言える立場にあったから、抵抗したんです。

 そういう経験もあって、やっぱ自然とそうなっちゃうんだなあと思っていたんですけど、『キングオージャー』のチームは本当にニュートラルで。リタは性別を言わないという設定も自然と受け入れられたんです。世代が変わって価値観が変わってきたんだなってすごく感じて嬉しかったですね。だから、僕一人ががんばって戦ったわけでは全然ないんです」

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