NHKの朝ドラ『ブギウギ』も3月29日で最終話を迎える。見どころのひとつとなっているのが、ヒロイン・スズ子(趣里、33)をすぐそばで一喜一憂しながら支える「山坂コンビ」だ。そんなスズ子のマネージャー・山下を演じる近藤芳正(62)と、村山興業東京支社長・坂口を演じるメッセンジャーの黒田有(54)が、ドラマの舞台裏を大いに語った。【全3回の第2回。第1回から読む】
焦って目が充血
黒田:スズ子の陣痛が始まって山下さんと坂口がドタバタするシーンでは、2人でコミカルなやり取りを練習したんですけど、放送ではだいぶカットされてしまった(苦笑)。山下さんが「水や水や!」と言って僕が差し出したものをスズ子に飲ませるけど、僕が「それお茶ですよ」と言って山下さんが「どっちでもええねん!」とツッコむやり取りを2人で練習したことを覚えています。僕は「大先輩ですけど少し言わせてください」と手の甲でツッコむ形をレクチャーさせていただいた。
近藤:あのシーンの練習は面白かった。黒田さんは普段は「すみません、すみません」と腰が低いのに、ツッコミのレクチャーの時は僕の手をつかんで「こうやってください」と熱心に指導してくるんですよ。
黒田:スズ子とボン(愛助=水上恒司、24)のために山下&坂口コンビが一生懸命になるけど、焦ってチグハグになってしまうのが面白いので、試行錯誤しながらやらせていただきました。だから僕(坂口)と近藤さん(山下)がネット上で「山坂コンビ」なんて言われて話題になっていると聞いた時は嬉しかったです。
近藤:そんなコンビでのシーンでも、やはりスズ子が出産した直後、ボンが死ぬシーンはきつかった……。
黒田:ボンが死んだ報告を電話で受けるのは、山下さんではなく、坂口だった。山下さんが報告を受けていたら喜怒哀楽が豊かなキャラクターだから泣き崩れていたかもしれませんが、坂口は「怒」の感情しかないキャラクターなので、電話で報告を聞いて、受話器を持ったまま絶句するしかなく、その様子を見た山下さんが「まさか……」とつぶやく。電話をとるのが山下さんだったらまた違う展開だったのかもしれないから、よく考えてらっしゃるなぁと思いました。
近藤:シリアスといえば、社長の村山トミ(小雪、47)とのシーンは緊張感がありましたね。