中学受験が終わり、受験生の保護者はわが子の合否により悲喜こもごもの春を迎えていることだろう。第1志望校に合格した子の保護者もそうでない子の保護者も、これから中学受験に向かう子の保護者も、新年度を迎えるにあたり、わが子とどう接すればよいのだろうか。親の悩みは尽きない。中学受験指導30年の実績をもち、最新刊『ぼくのかんがえた『さいきょう』の中学受験──最強と最凶の分かれ道』(祥伝社)が好評の、中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表・矢野耕平氏に話を聞いた。
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東京を中心とした首都圏では、中学受験は盛況を博し激戦が続いています。例年、偏差値でいうと中堅といわれる学校の受験者数は変動が大きく難易度も大きくぶれるのですが、今年も局所的に難しくなった学校がありました。
たとえば、三輪田学園という千代田区にある女子校は、一昨年、法政大学と連携し法政大学に30人の推薦枠をもち、その後、津田塾大学や東京女子大学とも高大連携したため、簡単には合格できない学校になりました。普連土学園という港区にある女子校も、校長先生が自校の魅力をアピールすることで、去年1.7倍だった3回目入試の倍率が、今年は5倍に跳ね上がりました。受験側からすると、合否の読みづらい入試になったと思いますね。
そんな激戦を終え、まずは親子ともにホッとしているところでしょうか。そして、第1志望校に合格した子、そうでない子、また新たに中学受験に向かおうとしているわが子に対して、保護者はどのような態度をとるのが望ましいのでしょうか。
私が考えるところをお話します。
第1志望に合格したわが子には、「おめでとうございます」と伝えてあげたい。結果がすべてではないものの、誇りをもって新しい中高生活をスタートさせてほしいところです。しかしながら、自分は選ばれた人間なんだ、と尊大になったり、不合格だった人に対して差別的な言動をとったり調子に乗ったりするようなら、諫めなければなりません。
合否は紙一重。たった一問正答したかしないかだけで、合否が分れることもあり、わが子もスレスレで合格しただけかもしれません。また、せっかく志望校に入っても、そこでは良い成績がおさめられないかもしれません。ですから、謙虚な気持ちをもち、中学受験の成果は忘れて中学生活に入ってほしいと思います。