国内

逝去の山根明さん 妻が明かした「男・山根」の最期の瞬間 意識もうろうとする中、娘の声かけに涙がこぼれ落ちた

山根夫妻。奥様が明かす最期の瞬間

山根夫妻。奥様が明かす最期の瞬間

 棺に眠る日本ボクシング連盟の元会長・山根明氏(享年84)は「ボルサリーノ」のハットをかぶり、オーダーで仕立てたスーツに「シャネル」のネクタイをあわせたいつもの正装だった。代名詞だったサングラスは、疎遠になっていた息子の昌守さん(59)が出棺の直前、遺品として取り出したという。

 助成金の不正流用や黒い交際などを理由に、会長職を追われたのが2018年。今も「会長」と呼ぶ28歳下の妻・智巳さんはいよいよ別れの時間が迫るとこう叫んだ。

「波瀾万丈の人生のなかで、若者をたくさん育てたあなたは日本の宝です。この国の誇りです。本当にお疲れ様でした」

 1月31日の未明、肺がんで死去した「男・山根」の最期の2か月を智巳さんが初めて明かす。

 * * *
 会長の体調に異変が起きたのは昨年11月29日の夜でした。いつものように私が経営するラウンジ『オアシス』大阪市生野区)でお客様とお酒を飲んでいた会長がトイレに行くと、大声で私を呼ぶんです。慌ててかけつけるとトイレの便器が血の色で真っ赤に染まっていた。緊急の事態にも会長は落ち着いていて、救急車を呼ぶことはなく自ら車を運転して救急病院に行きました。数日後、検査の結果が出て、腎盂ガンの「ステージ4」と宣告され、肺に転移していることも判明しました。

「こんな大変な病気になってごめんな」

 そう話した会長に対して、私は「みんな年取ったら病気になるんだから、大丈夫です」と伝えました。

 12月に入って大阪国際がんセンターに入院し、抗がん剤の投与を受けました。しかし、願っていたような結果が得られず、違う種類の抗がん剤を投与しても効果はありませんでした。今年の正月こそ自宅で迎えられましたが、1月4日に再入院。19日に私だけ主治医の先生に呼ばれて病院に行くと、「これ以上の抗がん剤を投与しても意味がない」と説明されました。先生の言いたいことを理解した私は、会長の余命を訊ねました。

「1か月……しかし、週単位で余命は変化する可能性があります」

 治療の手段がない以上、がんセンターから緩和ケア病棟に移る必要がありました。それには、会長の同意が必要なんです。しかし、「わしはどうなるの?」と訊いてくる会長に対し、私の口から「治療法がない」と伝えることなどどうしてできましょうか。代弁してくれたのが女性マネージャーです。余命は伏せて、次の治療に移るまで暫定的に別の病院に入院する必要があると嘘の説明をしました。会長は一言、「それやったら仕方ないなあ。90歳やったら諦めがつくねんけどな」と。涙ながらにそう口にしたことできっと会長も残された時間がないことを察しただろうと私たちは思っていました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン