昨年春に終了した『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)に続き、NHK『ブラタモリ』の終了が発表された。タモリ(78)をテレビで見る機会は大きく減る。何気ないタモリの一言に、「生きるのが楽になった」という共演者は少なくない。その言葉は、とかく生きづらい今の時代にこそ、求められているのかもしれない。【前後編の後編。前編から読む】
「どの番組の視聴者もおれを見たいわけじゃない」
タモリの元付き人で、お笑い芸人の岩井ジョニ男(49)は、芸風についてのこんな言葉を聞いたという。
〈おれは自分の才能で番組をやっているわけじゃないんだ。『いいとも』だったら、今旬のお笑い芸人やタレントが出ている。『タモリ倶楽部』だったら、旬の文化人、『ミュージックステーション』なら人気のアーティスト。どの番組の視聴者もおれを見たいわけじゃない。だから長く続くんだ〉(「女性セブン」2014年4月10日号)
ビートたけしや明石家さんまとの違いをタモリ自らが述べた言葉だが、タモリには別の凄みがある。『笑っていいとも!』(フジテレビ系)での共演経験が長いタレントの勝俣州和(58)が続ける。
「ゲストと2人だけのトークで沈黙が流れても、決して慌てないのがタモリさんの凄いところです。逆にその沈黙を楽しんでいるところがあって、ゲストが焦って発した一言を拾って、たちまち笑いに持っていってしまう。合気道で“気”を動かすみたいなものですよ」
こうしたタモリ節は、博覧強記ともいえる「知識量」に裏打ちされているのだろう。知識といっても、趣味の坂や地質構造のほか、「アルミホイルの表がツルツル、裏がザラザラはなぜ?」といった雑学にまで及んでいるからすさまじい。
『タモリ学』の著書があるライター・てれびのスキマ氏によると、タモリはこうも語っている。
〈我々のテレビ番組に対してもすぐ『低俗だ』『バカバカしい』『下品だ』と決めつけるのは、知識のない証拠〉〈どんなものでも面白がり、どんなものでも楽しめる、これには知性が絶対必要〉