前人未到のプロ通算113勝を誇るジャンボ尾崎(77)。ゴルフ界のレジェンドも1月に喜寿を迎え、今はどんな景色が見えているのか。“令和のジャンボ軍団”には、女子のトッププロである原英莉花(25)や2018年に開設された「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」の1期生である西郷真央(22)らが名を連ねる。アカデミーの門下生たちは、285ヤードのドライビングレンジ、パッティンググリーン、練習用バンカー、食堂・簡易宿泊施設付きクラブハウスに加え、18ホールのショートコースまで備える千葉市内の「ジャンボ軍団専用練習場」で指導を受ける。ジャンボは門下生たちをどう評価するのか──。【前後編の後編。前編から読む】
「まだまだ下手ということ」
楽しみになっているという“うちの子”たちの活躍を、ジャンボ本人はどう見ているのだろうか。
アカデミー1期生の西郷真央は、一昨年は序盤に10戦5勝と大活躍するも、終盤にドライバーイップスに陥り失速した。オフにジャンボのもとで練習すると、昨年11月には「伊藤園レディスゴルフトーナメント」で1年6か月ぶりに復活優勝を果たす。
「スランプもあったけど、スポーツには浮き沈みがあるからね。自分をどう見つめて改善できるか。そういうことができる子だから、良くなっている」
かつて男子ゴルファーしか指導しないと明言していたジャンボのスタンスを変えさせたのが、女子の弟子1号である原英莉花だ。原はジャンボについて「正しいところに導いてくれた道しるべ」と表現しており、師弟関係は深い。
そんな原の才能を誰よりも知るがゆえに、ジャンボはこうぼやいた。
「原はオレには分からない。あれだけ調子が悪かったのに、(昨年10月の)日本女子オープンで突然(同大会3年ぶりの)優勝をしたり、(同10月の米女子ツアー予選会で)いきなりスコア誤記をやってみたり。あいつにはついていけない」
そんな原に、ジャンボはこう伝えた。
「5アンダーを2回連続で出せば、スランプを脱出したことになる、ってね。でもこの2年間、一度もできなかった。本当の意味で自信を持てていない。だから、まだまだ下手ということ。頑張ろうとしている姿は強いから、スコンと早く抜けてもらわないと」