日本人なら誰でも知っているであろう、唯一無二の声だった──。3月9日、国民的アニメ『ちびまる子ちゃん』の主人公・まる子役で知られる声優のTARAKOさんが亡くなったことがわかった。63歳だった。
TARAKOさんは、1981年にアニメ『うる星やつら』の幼稚園児役で声優デビュー。1983年には、ファーストアルバム『とっておきの瞬間』をリリースした。声優兼シンガーソングライターとしてデビューした後もしばらくはアルバイト生活を続けていたが、1990年に放送スタートした『ちびまる子ちゃん』のまる子役をきっかけに大ブレーク。ドラマに映画にバラエティ番組、さらにはエッセイ本も出版するなど、マルチな才能を発揮した。
当初『ちびまる子ちゃん』が国民的アニメに成長するとは、誰も想像していなかったという。
「初めはスタッフやキャストの間でも『ワンクールで終わるんじゃないか』とささやかれていたのに、気づけば国民的アニメですからね。TARAKOさんはメディアで引っ張りだこの存在となり、当時は点滴を打ちながら仕事をするほどの多忙さだったそうです」(アニメ業界の関係者)
放送30年を超える長寿シリーズなだけに、『ちびまる子ちゃん』キャストの絆は強い。
「昨年12月、TARAKOさんが演出・脚本を担当した舞台が上演された際、『ちびまる子ちゃん』の共演者の方々が客席に駆けつけていました。TARAKOさんにとっても思い入れの強い作品になったようで舞台挨拶では涙を見せていました。ご本人はどの舞台も“最期”だと思っていたでしょうから、観客席に座る仲間を見て感極まったのでしょう。X(旧Twitter)でも〈また来年ね きっとね〉とさらなる舞台上演に意欲を示していたので、今回の訃報は残念で仕方ありません」(前出・アニメ業界の関係者)