裏金問題をめぐってリーダーシップを発揮できず、支持率は超低空飛行の岸田文雄・首相。もはや党内で言うことを聞く者もいなくなりつつある。そんな危機的状況の中で「岸田おろし」が始まろうとしていた──。
二階を処分できるように
党執行部との亀裂が決定的となり、追い詰められた岸田首相は、ひそかに党内の反対派粛清の「武器」を握ろうと動き出した。
3月17日開催の自民党大会で岸田首相は「派閥を二度と復活させない」という運動方針案を採択する方針だが、同時に、裏金問題を起こした議員を処分できる党則改正の準備を進めている。
総裁直属の自民党政治刷新本部がまとめた「中間とりまとめ」には、党則改正の具体的方針が盛り込まれた。
〈逮捕、起訴等の事態となった議員につき、党規約等において除名処分等の規定をより厳格化するよう改正する〉
〈会計責任者が逮捕、起訴等の事態になった場合、その団体の代表を務める議員も事案の内容に応じて党規約等において処分できる党則改正を行う〉
岸田派議員が語る。
「党則改正が実現すれば、裏金問題で在宅起訴や略式起訴されて離党した旧安倍派の大野泰正・参院議員と谷川弥一・前衆院議員のケースは除名処分になる。秘書(会計責任者)が政治資金規正法違反で略式起訴された二階俊博・元幹事長本人も離党勧告などの処分の対象にできるし、安倍派の幹部たちにも、自発的な離党を求め、拒否すれば何らかの処分を科せるような改正を検討している」