警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、ブラックテリア氏が暴力団幹部に「絶対に送ってはいけない」LINEスタンプを誤送信。その後の顛末について。
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LINEのトーク画面に「メンバーがいません」という表示が出た。トーク相手はある暴力団の現役幹部だ。2023年10月、LINEの規約が変更され、反社会的勢力の人間はLINEの使用ができなくなるという噂が暴力団業界で広まり、多くの組で使用禁止の通達が出ていた。便利だからと使っていた幹部も組員も次々と退会。彼らとのトーク履歴を見ながら、かつて大晦日に起きた恐怖のスタンプ誤送信を思い出した。
それは新年まで残すところ後一時間という時のこと。実家に戻り母と一緒に年越しそばを食べ、NHK紅白歌合戦を見ていた。テレビ画面に映っていたのは、華やかな衣装をまとい熱唱する白組の歌手。のんびり年越しを迎えようという気分を一変させたのは「これ面白いね」という母の一言だった。
高齢の母はその年から年賀状を送るのを止めていた。「書いても十数枚だし、くるのも20枚くらいだから、年賀状はもうやめにした。友達にはLINEで新年の挨拶を送ることにする」といい、「新年の挨拶にLINEスタンプを使いたいんだけど、どうすればいい?」と聞いてきた。
母はスマホに疎い。使っているのは通話とメールとカメラとLINEぐらい。LINEは毎日使っているが、様々な機能は使いこなせない。使う絵文字はパターン化され、スタンプはプレゼントされたものか無料のものだけ。自分で探したり、購入したりはできない。その母が年賀の挨拶にLINEスタンプを送りたいという。
母のスマホはらくらくホン。ご存じの方もいるだろうが、これが使い慣れてない人にはやたらと使いにくい。iPhoneやアンドロイド端末と使い勝手が全然違う。なので、こちらのスマホでLINEを開き、使ったことのある年賀用スタンプを見せた。ホームからスタンプショップを開いて年賀用を表示させ、「自分で見なよ。欲しいのがあればプレゼントするから」と何気なくスマホを手渡した。しばらく見ていた母が「これ面白いね」と画面をポンと指さした。
「新年に運がつくわ」母が向けた画面には…
「新年に運がつくわ」と画面をこちらに向ける。そこには誰かに送ったらしきスタンプがあった。大きなうんこに「クソ!」という文字、LINEで人気のキャラクターだ。よほど親しい間柄でなければ送ることのないうんこスタンプ、いったい誰に送ったのか。覗き込むと小さく見えたアイコンは現役組長だ。その瞬間、背筋がぞっとした。目の前が真っ白になり、サァーという音を立てて血の気が引く。