確定申告の最終日となった。今年は自民党派閥パーティーの裏金問題をめぐって政治家たちの“脱税疑惑”が取り沙汰される中で確定申告シーズンを迎えただけに、納税者たちは大きな不信感を抱えたまま税務署に足を運んだことだろう。NEWSポストセブンの2か月以上にわたる情報公開請求と調査・取材で、その税務署の職員たちの問題行為が次々と明らかになった。
昨年末には都内の税務署に勤務していた20代の女性職員3人が許可を得ず風俗店で働いていたとして、東京国税局が3人を停職の懲戒処分にしたことが明らかになっていた。
「3人は2022年7月から2023年9月にかけて、勤務時間内に風俗店やキャバクラなどで働くほか、『パパ活』にも励み、およそ136万~239万円の報酬を得ていました。東京国税局の調査に対し、彼女たちは『ホストクラブの飲食代を捻出するためだった』『ブランド品を購入したかった』などと動機を説明しました。
国家公務員法の兼業禁止規定に違反していたことで、懲戒処分の中では比較的重い『停職処分』となりました」(全国紙記者)
これは氷山の一角にすぎなかった。全国の税務署職員らの問題行為を調査するために、NEWSポストセブン取材班は2023年1月1日から12月31日までの1年間に処分が発令された事案について、全国に12ある国税局とその管区内の税務署の職員に交付された「処分説明書」、および「訓告」や「注意」などの内容を記した行政文書を入手した。
国家公務員法が定める懲戒処分は厳しい順に「免職」「停職」「減給」「戒告」があり、その下に「訓告」「厳重注意」「注意」などの軽い処分がある。
全国12ある国税局から開示された「処分説明書」や行政文書は144件分の処分。その中には“性”に関わるものが数多く見つかった。たとえば東京国税局管轄内の職員の処分説明書にはこうある。
〈同僚職員との懇親会において過度の飲酒により泥酔し、×××線下り車両内において女性の左大腿部を数回触ったとして、××迷惑防止条例違反の容疑で××警察署に現行犯逮捕〉(処分説明書からの引用、以下〈 〉内は同。×は黒塗り部分)
同処分説明書には〈規定により、懲戒処分として3月間俸給の月額の10分の2を減給する〉とある。ちなみに、この職員は逮捕後に起訴され有罪判決(罰金刑)を受けたこともわかった。
大阪国税局管轄内の職員は過去に痴漢行為で減給の懲戒処分を受けていたにもかかわらず、〈通勤途上の××××の車内において、左手の指で乗客の左大腿部を触った〉ことで、通報を受けた警察官から事情聴取され、2度目の減給処分(3か月、10分の2)となった。
3人への連続セクハラ
同僚への卑劣なセクハラ行為を繰り返したのは、東京国税局管轄内の職員。酒の席で職員にわいせつな行為をして、カラオケ店では別の職員に〈不必要な身体接触〉を行い、さらに懇親会の帰り道でまた別の職員にセクハラを行った。最低でも3人の職員への“連続セクハラ”が発覚し、3か月間の停職という懲戒処分が下った。
名古屋国税局管轄内の職員は、〈懇親会後の3 次会のカラオケ店内において、被害職員に×××を迫り、同意なく×××××結果、被害職員を不快にさせた〉として、セクハラ防止規定に抵触するとされた。懲戒の内容は停職6か月。黒塗りのため実際の行為内容は詳らかではないが、「処分の重さから見て、刑事事件にもなり得る『不同意わいせつ』にあたる可能性もある」(社会部デスク)とみられる。