元横綱・白鵬の宮城野親方。弟子の暴力問題で“師匠剥奪”処分を受けているが、相撲協会に送られたとされる宮城野親方の“取り巻き”による暴行トラブルの告発文の存在が明らかに。今後、宮城野部屋が「閉鎖」に向かうとも報じられているなかで、相撲協会はどのような処分を下すのか。【全3回の第3回。第1回から読む】
一門内も「近づきたくない」
角界では「お米」はカネを意味する隠語だ。
資金集めの白鵬米ビジネスが頓挫に至る過程で起きたトラブルが今のタイミングで告発されたのは、宮城野親方や周辺への不信が募っていたからと考えられるだろう。
「もともと、協会執行部は白鵬の派手なカネ回りも白眼視していた。昨年1月の引退相撲では、政財界の大物らが髷にハサミを入れ、“祝儀4億円”の断髪式と騒がれた。ただ、断髪式に協会幹部がひとりも出席していません。部屋の移転先は日本橋の一等地に見定め、150坪の敷地を15億円で確保して部屋を建てようとした矢先の降格だった」(相撲ジャーナリスト)
春場所後の宮城野親方の処遇も混沌としている。
「伊勢ヶ濱一門が執行部に提出した処遇案は、宮城野親方、部屋付きの間垣親方(元前頭・石浦)、所属力士がそれぞれ別の部屋に移籍するという内容とされるが、協会はここにきて“同じ部屋に移籍させるべき”という態度に変化した。正直、一門内で受け入れに前向きなのは同じモンゴル出身の大島親方(元関脇・旭天鵬)くらい。みんな近づきたくないのが本音。しかも、執行部はモンゴル出身者を結集させたくないから、大島部屋は移籍先になれない」(同前)
同じ一門の伊勢ヶ濱部屋は師匠(元横綱・旭富士)が2年後に定年のため、次期理事の浅香山親方(元大関・魁皇)の部屋への移籍が選択肢として浮上しているという。
「魁皇とは手が合うという話もあるが、魁皇の通算勝利数の記録を塗り替えたのが白鵬。魁皇からすれば“後輩だけど頭が上がらない”といった存在です。ただ、白鵬が弟子とともに部屋を移れても、“力士数に応じた力士養成費を受け取れるのか”といった問題がどうなるかわからない」(同前)
日本橋の土地に部屋を建てられる状況ではなく、固定資産税などのコストばかりがかさんでいく。
「今後はカネ回りがどうなるかの問題が出てくるでしょう。執行部が白鵬を徹底的に追い込みたい方向なのは間違いなく、少なくとも2年、長ければ5年は部屋を持てない。その間に何か不祥事があればアウトです」(同前)
執行部から敵視されながらも“お米が切れる(カネ払いがいい)”との評で勢力を広げてきた宮城野親方。力尽きる時は迫っているのだろうか。
(了。第1回から読む)
※週刊ポスト2024年3月29日号