【東京・足立区入谷　酒のすぎさき】商店街の盛り立て役を務める東京・舎人団地の角打ちは居心地がよすぎて、夫婦で来る客も多い名店

タレコミする

店で旦那の帰りを待って、夫婦で乾杯

　そんな話を聞いていたら、「あら、こんばんは」と女性の声がした。ここでは、買い物帰りの奥さんたちも立ち寄り、一杯飲みながら寛いでいる。

　50代の主婦は、「この店なら安心だから」と夫の公認で角打ちデビューをした。

「旦那は新橋のサラリーマンです。いつも角打ちがどうのこうのって言っているから憧れがあって、ずっと行ってみたかったんです。“ダークダックス飲み”だっけ…してるんでしょ？　とか、妄想してました（笑い）。私にとって角打ちはトキメキの場所ね」

「『今晩のおかず、どうする？』とか、『飼っているワンちゃんの様子どう？』なんて、たわいない情報交換で盛り上がります。たわいないのがいいのよね」（別の50代の主婦）と女性同士ならではの会話が弾む。

「旦那の帰りが遅いから、家で待ってても、ここで待っててもあまり変わらないですしね。買い物の道すがらだから。おかげでリラックスした時間を過ごせるし、友達もできました」（60代の主婦）

　そうこうしているうちに、仕事を終えた夫君が到着した。早速「おつかれさん」と夫婦で乾杯。「お先です」と声をかけた別の常連（50代の会社員）は「この店は本当に夫婦で飲む人が多いんですよ。常連みんな、一度は連れ合いを呼んでるんじゃないかな。それくらい居心地がいい、っていう証拠ですよね」と目を細める。

　店主はこう語る。

「うちの店では、新しいお客さんが来ると、『ようこそ』って言いながら、昔馴染みのお客さんが、この店での買い方とか飲み方を教えてくれています。私は信頼して見ているだけ。『ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために』っていう感覚がお客さん同士にあるんです。今後、うちがどんな店になるかもお客さんが決めてくれるんだと思いますよ」

「まあ、毎日いろいろあるけど、笑顔が一番！そうだろ？」とムードメーカーの常連（64歳・建設業）が景気づけると、「カンパーイ！」と声がそろった。