3月20日に開幕する世界フィギュア選手権(モントリオール)では、日本から10人が出場する。優勝が期待される日本選手は“りくりゅう”こと三浦璃来(りく)(22)と木原龍一(31)ペアだ。
二度の世界女王に輝き、現在はプロスケーター、そしてコーチとして活動する安藤美姫(36)さんに、“りくりゅう”ペアの強さの秘密を訊いた。【前後編の前編】
2023年3月に世界選手権を初制覇し、日本ペアの歴史に名を刻んだ“りくりゅう”。安藤さんは2人の快進撃にエールを送る。
「日本人同士のペアが昨季の世界チャンピオンになったのは本当に凄いことです。木原選手はシングル選手時代から優しい子で、後輩スケーターの面倒見も良いタイプ。三浦選手のことを先輩としてもパートナーとしても可愛がって、大事に思っている様子が見えますよね。そして三浦選手も、彼の優しさを全力で受け入れて信頼を置いている。そのバランスがとれているのが2人の強みです」」(安藤さん、以下同)
安藤さんは木原選手のジュニア時代からリンク上で見守ってきた。
「私が現役時代のころ、同じリンクで練習する機会がよくありました。小さい頃から元気で、ちょこまか動いていて可愛らしい選手でした。ジャンプの練習を頑張っていて、4回転も練習しているレベルでしたが、ペアに切り替えたのです」
木原選手は2013年に高橋成美のパートナーとしてペアに転向し、二度の五輪(ソチ、平昌)を経験。2018年に三浦選手と運命の出会いを果たした。
「木原選手のスケート愛と真面目さがあってこそ、諦めずにペアの基礎を固められたのだと思います。女性をサポートできる土台作りが完成した時期に、三浦選手に出会えました。スケーティングの相性も良く、才能の開花に繋がったと思います」
見つめ合う2人から、感情が溢れ出すような演技が魅力だ。
「木原選手はもともと感情表現の出来るタイプでしたが、三浦選手の表現力と化学変化が起きて、メッセージ性がより一層強まりました。2人でいることで、大人っぽい空気感やストーリー性を醸し出せるようになったと思います。『お互いが大きな存在なんだ』という絆が、演技を見ていても伝わってきますね」