3月20日に開幕する世界フィギュア選手権(モントリオール)では、日本から10人が出場する。二度の世界女王に輝き、現在はプロスケーター、そしてコーチとして活動する安藤美姫さんに、世界選手権に挑むシングル男女の後輩たちの活躍と大会の展望を訊いた。 【前後編の後編。前編から読む】
日本男子は、宇野昌磨(26)、鍵山優真(20)、三浦佳生(18)の3名が出場。最大の注目は、大会3連覇に挑む宇野だ。昨季のフリーでは4回転5本に挑んだが、今季は4回転4本に絞り、プログラム全体の完成度を高めている。すると安藤は、“ジャンプ偏重の報道”に疑問を投げかけた。
「フィギュアスケートって、日本では大技のジャンプにフィーチャーされがちで、根本的な美しさやアーティストとしての側面が報道されにくいのが現状だと感じています。宇野選手が“4回転を減らした”という報道もありますが、フリーのジャンプ7本のうち4本が4回転というのは素晴らしいこと。マイナスに聞こえるような報道は好ましくないんじゃないかなって……」(安藤さん、以下同)
そう語るのは、宇野の演技へのリスペクトがあってこそ、だ。
「そういった報道にとらわれずに、宇野選手は“魅せるスケート”に特化してきています。特にコーチのステファン・ランビエルに習ってからは、スケーティングをいちから見直し、いろいろな表現面に挑戦されている。今季は静かな曲調で、大人の熟成された滑りを見せていて、本当に練習してきたんだなあと感動しています」