国内

終戦処理が進まない山口組「泥沼の分裂抗争」 離脱派が“六代目山口組による破格の温情措置”を拒む理由

分裂抗争が終わらない背景とは(司忍・六代目山口組組長。
時事通信フォト)

分裂抗争が終わらない背景とは(司忍・六代目山口組組長。 時事通信フォト)

 2015年8月、結成100年の節目に分裂した山口組。今年の夏で10年目となるが、まだ決着していない。なぜ「山口組分裂抗争」は終わらないのか──。フリーライター・鈴木智彦氏がレポートする。【前後編の後編。前編から読む

 * * *
 では、なぜ抗争が終わらないかといえば、終戦処理が進まないからだ。圧倒的に優勢な状況にある六代目山口組は、神戸山口組に参画した組長たちの一部を除き、命の保証をした上、財産を保全する意向と伝えられる。

 神戸山口組のトップである井上邦雄組長、神戸山口組から離脱した池田組・池田孝志組長、宅見組・入江禎組長らは、組を割り、謀反を起こし、司組長のメンツを踏みにじったのだから、六代目山口組から見れば「重罪人」だ。にもかかわらず、組織を解散して引退し、組員を戻せば免責するというなら、破格の温情措置である。

 それなのにどうして六代目山口組の終戦処理案を拒否するのか。

「簡単な話、そんな都合のいい話を信じられないのだろう。盃を踏みにじり、謀反を起こし、同じ山口組を名乗って新組織を旗揚げした。特定抗争指定暴力団となってからは本部をはじめ、主要な組事務所も使えない。これほどの損害を与えているのに『戻れば不問です』といわれても、そんなうまい話があるかと勘ぐってしまう」(六代目山口組と親交のある関東広域団体幹部)

 なにせ相手は修羅場をくぐり抜けてきた高山若頭だ。猜疑心を抱く気持ちは分かる。

 ある警察筋は、さらなる事情があると分析する。

「井上組長も池田組長も家族がいる。条件を呑んで解散した後、約束を反故にされ、家族にまで影響が及ぶことが心配なのでは」

 首謀者たちの根底には“高山清司アレルギー”があるようにみえる。なにしろ今回の山口組分裂抗争は、なにからなにまで“高山清司”だ。高山若頭が辣腕すぎて、次世代も弘道会支配が続くと確信した組長たちは、高山若頭が懲役となった間隙をついてクーデターを起こした。一進一退の状況は、高山若頭の社会復帰で一気に片が付き、今度は高山若頭を信じられずに終結が頓挫している。山口組史上、ここまでの影響力を誇った若頭は他にない。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン