2023年10月の放送スタートから本誌『週刊ポスト』は『ブギウギ』と主人公・スズ子(趣里)を応援し続けてきたが、彼女を支えてきた俳優たちの想いは格別。最終回を目前に、スズ子の恋人役「愛助」を演じた水上恒司が、スズ子に愛の言葉を贈る。
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スズ子にとって愛助は“最初で最後に愛した人”。はたして愛助を選んだのは素晴らしい選択だったのか、間違っていたのか。それが視聴者にどう映るかは、僕が作り上げる愛助次第になる──これはクランクインから意識していました。
『ブギウギ』の舞台は今よりも男性優位で女性が軽視された時代ですが、愛助が注ぐ深い愛情はスズ子の心の支えになり、スズ子もまた病身の愛助を献身的に支えました。お互いを支え合う2人の関係は、令和の時代の男女が目指すべき形ではないかと、台本を読んだ時に思いました。“こんな人が近くにいてほしいな”と思っていただけるような愛助を作り上げなければと思いながら撮影に臨みました。
スズ子とのシーンで印象に残っていることはたくさんありますが、重要だったのは愛助が亡くなって僕が登場しなくなった後のこと。スズ子が遺影に向かって「愛助さん」と語りかけるシーンです。
視聴者の方々がどう感じられたかわかりませんが、少なくとも僕には、愛助が亡くなった後もスズ子が愛助の魂に癒され、支えられているように感じました。スズ子の心の中にずっと愛助がいることが読み取れるのは、愛助を演じた身としてすごく嬉しくなりました。
従来の朝ドラに比べて『ブギウギ』には歌と踊りがふんだんにあり、趣里さんは撮影がない日もレッスンやトレーニングに明け暮れて、想像を絶するほど過酷な日々が続いたと思います。僕も他の作品と撮影を掛け持ちしている状態でしたが、趣里さんのそういう姿を見て僕ごときが疲れた表情は見せられないなと気持ちが奮い立ちましたね。
学生時代に僕はずっと野球をしていてポジションはキャッチャーだったので視野の広さや周りを見る能力が求められました。そういうクセがついたので役者の仕事を始めてからも周りの人が何をしているのかを見るようにしていました。
ただ、驚いたのは趣里さんが僕以上に現場で周りをよく見ていることでした。それを趣里さんに伝えると、「こういうことが気になっちゃう」「見えちゃうんだよね」とおっしゃったので、とても共感しました。そんな視野の広さをお持ちだからこそ、座長として現場の良い雰囲気を作っておられたのではないかと思います。