2023年10月の放送スタートから日本の朝に元気を与えてきたNHK連続テレビ小説『ブギウギ』。主人公・スズ子(趣里)を支える付き人・小夜を演じたのは富田望生。最終回を目前に、富田望生がスズ子への愛を語る。
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スズ子さんと梅吉さん(柳葉敏郎)のお家への道を歩くところでしたが、「用意!」と始まる寸前に趣里ちゃんがクルッとこちらを振り返ってニコッと笑ったんです。それからすぐ前を向いて歩く彼女の姿を見て、「あ、スズ子さんにお付きする小夜をやるんだ」という覚悟と、趣里ちゃんの背中を見続けるんだという、役と私自身の覚悟が固まったような瞬間でした。
趣里ちゃんとは初共演で、まだ「よろしくお願いします」という会話くらいしかしていなかったのですが、そのシーンの後もしばらく(本番)直前にニコッと笑いかけてきてくれました。やっぱり福来スズ子のあのパーンと晴れた笑顔に心を鷲掴みにされるお客さんがたくさんいて、私もその一人だということを体験しました。
『ブギウギ』は4か月くらい撮影に参加しました。趣里ちゃんは私よりもっと長い期間、朝から晩までだったはずなのでこんなこと言ってしまうのは恐縮なのですが、本当にただただ楽しかった思い出しかなくて。ご飯が出るシーンでは、趣里ちゃんに「行くか!」と誘われて「はい!」とついて行って厨房でジャガイモのふかしたものとかを「美味しい?」と食べて、撮影に戻るという感じでしたね。
小夜に対する反響はたくさんいただきました。視聴者のなかには、“小夜、うるさいぞ?”と思う時期もあったと思います。彼女の根っこにはものすごく大きな愛情があって、もう少し観ていただけたらそれがクセになるっていう自信があったので、小夜がうるさいから観るのをやめるってならずに“スズ子さんの人生をこのまま観てくんちぇ”と願い続けていました。
スズ子さんのそばにいて、喜びもあったけれど、彼女の悲しみにも触れた一人の人間として、小夜という存在がスズ子さんの支えになっていたらいいなという思いがありました。
スズ子さんが弟の六郎(黒崎煌代)を亡くして、上手く歌えなくて自分の体を叩くのを小夜が止めるシーンでは、段取りやテストの段階ではびっくりするくらい私も泣いていたんです。