歳を重ねていけば、人間関係も変わっていく。友達との関係性の変化について、現在67才の『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子が綴る。
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そろそろ3月も終わり。皆さん、体調はどうですか?
私は年間でいちばんの“絶不調期”のど真ん中にいる。いわゆる気象病というやつで、天気の変わり目がもろ、心身にくるのよ。いや、「くる」なんてもんじゃないね。バラバラの体から魂がちょっとだけ抜けかけている感じ。体が重たくて一日中、ベッドから離れられない日もある。でも、それもあと1か月くらいの辛抱で、ゴールデンウイークの頃になるとウソみたいに元気になるんだけどね。30代初めから20年間、ギャンブル依存症になって不摂生の限りを尽くしたから、すべては身から出た錆。老いた獣のようにじっとしているしかないわけですよ。
でも、時代の変わり目は、季節の変わり目みたいに短期間では動かない。
話題のテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)は、昭和後期の1986年と令和の2024年を行き来して、その間の世の中や人間関係の変わりようを際立たせくれる作品で、かなり錆かけてきた“昭和人間”の脳をこれでもかと揺さぶってくれる。それがクセになるんだけどね。で、ドラマを見終わると思うわけよ。この38年間に私が感じた“時代の曲がり角”ってどこだったかしら、と。
時代を変えたのは、やっぱり携帯電話の登場だよね。バブル期、東京・新宿歌舞伎町に編集プロダクションを構えていた私は、大きな肩掛けのショルダーフォンを担いでいる人をよく見かけたのよ。普通のスーツを着ていたら証券会社か不動産会社の営業マンで、極彩色か黒ずくめなら反社か夜の世界の人。次いで「これがないと仕事にならない」と言い出したのは建設現場の人たちで、それ以降、昼の社会に一気に広まっていったんだわ。
でもそれもまだ序の口。変化のうちに入らない。やがて携帯電話が0円で配られるようになって(……各社が普及に躍起になってたとはいえ、いま思えば、よくそんなことをしたわ)、誰もが1台、人によっては2台以上の携帯電話を持つようになった1990年代後半は、もっと変わった。
何が変わったって、私の周囲の、結婚して仕事もあって子供もいる30代後半の女たちがいっせいに不倫を始めたの。知り合いから「携帯電話を新しくしたから番号教えるね」と電話がかかってくる。聞けば、きっかけは十中八九が男がらみだったもんね。