5年前から保育園で働いていた
──現在大学生のお子さんが成人し、独り立ちするようになったら、子育ても本当にひと段落ですね。ご主人との2人の暮らしを想像することは?
「静かになっちゃうので、犬でも飼おうかなんて話しています(笑)。子育てが終わることとも関係しているのですが、実は6年前に『子育て支援員』の資格を取り、5年前から保育園で保育補助の仕事をしているんです。子供たちと遊んだり、食事の介助をしたり、お散歩についていったり。保育士の先生方を全般的にサポートするのが、保育補助の役目です」
──また驚かされました。経緯を聞かせてください。
「子どもが大きくなって手が離れたら、肩の荷が下りるのと同時に、やっぱり少し寂しく感じたんですよね。『もう少し子どもたちと関わっていたかったな』とか『もっとこんなふうにすればよかったな』とか、ほんのちょっとの心残りもあったりして。そういった気持ちと、3人の子どもを育ててきた経験を活かせるんじゃないかと思って、子育て支援員の資格を取りました」
──ご結婚されてから、外で働かれたことは?
「まったくないですね。ずっと家のなかにいて、主婦をやっていました。子どもの巣立ちや自分の年齢のこともあって、『このままでいいのかな』『なにかしなきゃ』という思いは抱きつつも、なかなか踏み出すことができずにいました」
──人生のなかで、次のステップに踏み出す時期だったのかもしれませんね。
「ずっと家庭にいて、ずっと子育て中心に暮らしてきたので、『自分』のことはなにもしてこなかったような気がします。鏡を見ながら『これって、何年前に買った服だろう』なんて(笑)。子どもや主人のことは気にしているのに、自分のことに対してはすごく疎くなっていた。
もう少し自分のことにも気づいてあげなければいけないし、自分も大切にしてあげなければいけない。そういった年齢だと感じるようになったんです。保育補助の仕事をはじめたのも、そういった気持ちと子育てが終わった寂しさがちょうどリンクした結果ですね」
──年齢や環境の変化に合わせて新たなステージへ踏み出すのはとてもすばらしいことだと思いますし、過去を振り返ってみれば、実に松本さんらしい生き方なのかもしれません。
「新しいことをはじめるのには、やっぱり勇気がいりました。でも、今はすごく充実していますし、保育の現場の大変さや難しさをなにかしらの方法で伝えることができればとも思っています」
──芸能活動の再開も、心待ちにしている人は多いはずです。
「また、みなさんの前で歌わせていただく機会があると嬉しいですね。もちろん、当時と同じキーは出ないし、当時と同じようには歌えないと思う。でも、年齢や経験を重ねてきた、今の自分らしさが出ればいいかなとも。当時のファンの方たちも、同じだけ年を重ねて、それぞれに変化があったと思います。みなさんとまた会える日を、私も楽しみにしています」
(了。第1回から読む)