2022年に音楽活動を引退したシンガーソングライター・吉田拓郎(77)にとって、これまでの総決算と言えるだろう。ベストアルバム「Another Side Of Takuro 25」が6月12日に発売されることになった。「たえこMY LOVE」や「大阪行きは何番ホーム」、「全部だきしめて」といった全25曲の収録曲は拓郎自ら選んだもの。さらにアルバムに封入されるセルフ・ライナーノーツには、拓郎がそれぞれの楽曲への思いをつづっているほか、収録曲に合わせて各時代の彼に迫った60ページのフォトブックもアルバム特典についてくるという。
拓郎は2022年6月にラストアルバム『ah-面白かった』をリリースし、翌7月放送の『LOVE LOVE あいしてる 最終回・吉田拓郎卒業SP』(フジテレビ系)が最後のテレビ出演となった。パーソナリティを務めるラジオ番組『吉田拓郎のオールナイトニッポンGOLD』(ニッポン放送)も同年12月に終了して以降、2023年2月にオールナイトニッポン55周年記念特番にゲスト出演したほかはメディアに登場していない。
なぜこのタイミングなのか
なぜ、このタイミングでベストアルバム発売に至ったのか。音楽業界の関係者が明かす。
「2025年は、拓郎さんにとってデビュー55周年にあたる年です。また、井上陽水さん、泉谷しげるさん、小室等さんらと一緒に1975年に設立したレコード会社『フォーライフ・レコード』も50周年を迎えます。
そんなアニバーサリーイヤーを控え、昨夏にフォーライフから拓郎さんに『何かやりましょう』と相談したところ、ベストアルバムを制作することになりました。拓郎さんが自身の音楽人生を振り返った究極のベスト・アルバムとなることは確かです」(音楽業界の関係者)
拓郎自ら関わる形で作品集を古巣フォーライフから出すのは実に26年ぶりのこと。“もうひとつの吉田拓郎”をコンセプトに、本人も並々ならぬ力の入れようだという。
「拓郎さんによる企画発案で、アルバムのタイトルもご自身で考えたと聞きました。デビューした1970年から30年間のうちにリリースした約330曲を直々に聴き返して、感慨深い作品や印象に残っている作品を選んだそうです。
昨夏の終わり頃から曲の選曲に入り、今年に入ってライナーノーツを書き上げたそうで、単に過去曲を寄せ集めただけのベストアルバムとは一線を画す出来栄えのようです」(前出・音楽業界の関係者)
表舞台を去った拓郎が発案したという“アナザーサイドの吉田拓郎”という謎かけのようなタイトル。集大成といえるアルバムに彼が込めたメッセージとは、はたして──。