スポーツ

M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」

大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も

大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグやスポーツの世界では過去に賭博関連の騒動も(写真/USA TODAY Sports/時事)

 ドジャース・大谷翔平(29才)の通訳を務めていた水原一平氏(39才)が、違法賭博で作った450万ドル(約6億8000万円)の負債を返すため、大谷の銀行口座から盗んで送金したとして、球団から解雇された。

「アメリカでは2018年以降、スポーツ賭博の合法化が進み、手軽にスマホから賭博ができる文化が浸透しました。あのマイケル・ジョーダンもギャンブル好きで、現在ではアメリカでいちばん有名な賭博オンラインサイトの出資者に名を連ねています」(在米スポーツジャーナリスト)

 古くから洋の東西を問わず、スポーツとギャンブルには親和性がある。問題なのは、賭けの対象となる選手やチーム関係者の中から、禁忌を犯す者が出てくることだ。1960年代から1980年代に“安打製造機”と呼ばれ、通算4256安打のMLB歴代1位記録を持つ元大リーガーのピート・ローズもそのひとりだ。ローズはシンシナティ・レッズの監督を務めていた1989年、野球賭博にかかわったとして球界から永久追放を受けた。

「自叙伝などで『毎晩のように自分のチームの勝ちに賭けていた』と認めています。これまでローズは処分の解除や米国野球殿堂入りの資格を復権するよう繰り返しMLBに求めてきましたが、いまだに認められていません」(前出・在米スポーツジャーナリスト)

 日本でも2015年、巨人軍で野球賭博をしていたとして、現役の4選手が解雇された。そのうちの1人で、現在はYouTuberとしても活動する笠原将生氏が、自身の経験を振り返る。

「野球賭博に手を染めたきっかけは当時、兄のように慕っていた飲食店経営者からの誘いでした。負けが込むと取り返そうとして、どんどん深みにハマってしまった。アスリートはギャンブル好きが多いですが、それは勝負師だからだと思います」

 ひどいときは球場のロッカールームからどのチームに張るか、胴元に連絡を入れていたという。

「小さいときから勝ち負けの世界にいて、勝負事でしか得られない一瞬の快楽というか、ヒリヒリ感を求めてしまい、のめり込んでいった。苦しい練習もある中、ギャンブルに熱中することで、ストレスを発散していた面もありました。球界を引退したいまは、不思議とギャンブルがしたいと思わなくなりました」(笠原氏)

 賭博が好きなのは野球選手ばかりではない。2010年には大相撲で、数十名に及ぶ力士や年寄が野球賭博などの違法賭博に関与していたことが発覚。27人が書類送検され、大関・琴光喜と大嶽親方(当時)が解雇された。

 2016年にはバドミントン選手の桃田賢斗と田児賢一の闇カジノ通いを産経新聞がスクープ。桃田はほぼ内定していたリオ五輪出場権を失った。永久追放となった田児は、週刊誌の直撃インタビューでこう語った。

「ギャンブルと、極限状態で勝負するスポーツには、通じるものがあった」

 勝負の世界で生きるからこそハマりやすい賭博の沼。だが法を犯せば、これまで積み上げてきた実績ばかりでなく未来までも失ってしまう。万が一にも大谷が関与していないことを祈るばかりである。

※女性セブン2024年4月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

打撃が絶好調すぎる大谷翔平(時事通信フォト)
大谷翔平“打撃が絶好調すぎ”で浮上する「二刀流どうするか問題」 投手復活による打撃への影響に懸念“二刀流&ホームラン王”達成には7月半ばまでの活躍が重要
週刊ポスト
懸命のリハビリを続けていた長嶋茂雄さん(撮影/太田真三)
長嶋茂雄さんが病に倒れるたびに関係が変わった「長嶋家」の長き闘い 喪主を務めた次女・三奈さんは献身的な看護を続けてきた
週刊ポスト
6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
中国・エリート医師の乱倫行為は世界中のメディアが驚愕した(HPより、右の写真は現在削除済み)
《“度を超えた不倫”で中国共産党除名》同棲、妊娠、中絶…超エリート医師の妻が暴露した乱倫行為「感情がコントロールできず、麻酔をかけた患者を40分放置」
NEWSポストセブン
第75代横綱・大の里(写真/共同通信社)
大の里の強さをレジェンド名横綱たちと比較 恵まれた体格に加えて「北の湖の前進力+貴乃花の下半身」…前例にない“最強横綱”への道
週刊ポスト
地上波ドラマに本格復帰する女優・のん(時事通信フォト)
《『あまちゃん』から12年》TBS、NHK連続出演で“女優・のん”がついに地上波ドラマ本格復帰へ さらに高まる待望論と唯一の懸念 
NEWSポストセブン
『マモ』の愛称で知られる声優・宮野真守。「劇団ひまわり」が6月8日、退団を伝えた(本人SNSより)
《誕生日に発表》俳優・宮野真守が30年以上在籍の「劇団ひまわり」を退団、運営が契約満了伝える
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン