第96回センバツで、優勝候補の大阪桐蔭が報徳学園(兵庫)との準々決勝に挑む。1回戦で高嶋仁(智弁学園、智弁和歌山)の最多勝記録「68勝」に並んでいた監督の西谷浩一は、2回戦の神村学園(鹿児島)を退けて69勝目を挙げ、母校・報徳との試合でさらなる記録更新への期待が高まる。その強さの源はどこにあるのか──。
藤浪晋太郎(メッツ)や森友哉(オリックス)が春夏連覇を達成した2012年を境に、東京を拠点とする筆者が大阪桐蔭を追うようになって、間もなく12年になる。この間、同校は甲子園の優勝回数を春4回、夏5回に伸ばし、高校野球史に揺るがぬ一時代を築いてきた。
戦前の中京(現中京大中京)や平安(現龍谷大平安)、1980年代のPL学園など、高校野球においては時代を象徴する強豪校が存在した。だが、隆盛が10年と続いた学校はない。
そういった意味で、大阪桐蔭は異端で、盛者必衰の理など当てはまらないようだ。センバツの組み合わせ抽選会が行われた3月8日、西谷はこう振り返った。
「選手は毎年入れ替わりますし、浮き沈みはあるものだと思います。高校野球で常に甲子園に出るということは難しいもの。毎日が必死で、『昨日は頑張った』『今日も明日も頑張ろう』という日々を積み重ねてきただけ。だから最多勝の記録を僕自身が意識することはありません。いつも同じことを言いますが、これまでのOBたちが頑張ってくれた結果だと思っています」