百戦錬磨のボウヤー氏にとって、水原氏は飛んで火に入る夏の虫だっただろう。
「ボウヤー氏と接点を持った直後から水原氏は信用取引で賭博を始め、わずか1年あまりで1億円以上の損失を出し、家族や知人からお金を借りていたそうです。それでも賭博をやめられず、2023年末には借金が約6億円まで膨らみ、ついに大谷選手のお金に手を出したのでしょう。
他方、メジャーのスーパースターで、億万長者の大谷選手周辺を“カモ”にしたボウヤー氏は有頂天になり、ラスベガスの仲間に大谷選手とのつながりがあることを吹聴しては、『オータニの名前は、オレの信用を上げるのに使える』と豪語していたといいます」(前出・在米ジャーナリスト)
だが高笑いは長く続かなかった。FBIによって、ボウヤー氏の違法事業はあえなく摘発されることになった。現地で取材する大手紙『TIMES』の特派員キーラン・サーザン氏が語る。
「違法なブックメーカーは通常、ギャングやマフィアによって運営されており、違法賭博に加担することは裏社会のマネーロンダリングや電信詐欺を手助けするとみなされる可能性があります。
カリフォルニアで長く育った水原氏が違法賭博の存在を知らなかったとは考えにくく、当局は彼がなぜ『大谷は賭博を知っていた』という当初の説明を変えたかに関心があるはず。ラスベガスに合法的な賭博業者があるのに、なぜ水原氏がボウヤー氏と取引したのかも当局は知りたがっているでしょう」
ボウヤー氏については捜査主体がFBIであることが大きな意味を持つという。
「FBIはボウヤー氏の背景には大規模な犯罪組織があるとにらんでいて、厳しく追及する方針のようです。ボウヤー氏と水原氏は頻繁にテキストメッセージでやりとりを重ねており、今後はそうした通信記録も丹念に解析されるでしょう」(前出・現地特派員)
捜査に関連して、さらに懸念されるのは、大谷が「偽証」の罪に問われるケースだ。
「現状では大谷選手が捜査の本丸となることはなさそうですが、調査に対し、虚偽の説明をしたと見なされた場合には話が変わります。これまで違法なスポーツ賭博が立件されたケースでも、FBIは関係者を偽証の罪で罰したことがあります。
水原氏の証言は変遷しており、会見を開いても大谷選手サイドがすべての事実を詳らかにしたわけではないでしょう。仮に、大谷選手サイドの主張の信憑性が揺らげば、FBIが強硬な態度に出るかもしれません。連邦捜査への偽証は最高で5年の連邦刑務所行きです」(前出・現地特派員)
(後編へ続く)
※女性セブン2024年4月11日号