1月1日に発生した能登半島地震では、過去の地震に比べてX(旧Twitter)などのSNSにおける偽情報、いわゆるデマが急増した。背景には、Xの仕様変更の影響が大きいという。デマが増えた理由とともに、災害時のSNSにおける情報収集発信のコツについて、SNSの課題と活用に詳しい成蹊大学客員教授高橋暁子さんに聞いた。
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「右腕がタンスに潰されてます。感覚がない、動けない」
「ストーブの火がタンスに移ったどうすれば」
「息子がタンスに挟まっていて動けません」
これらはすべて、能登半島地震が起きた直後、特定のアカウントが投稿していた悪質なデマだ。2023年に追加されたXの新機能「コミュニティノート」がつけられた投稿もあった。コミュニティノートとは、投稿に対して他のユーザーが「誤解を招く」「誤りがある」などと指摘できる機能だ。虚偽を多数投稿したことでこのアカウントは停止処分となったが、それまでの間、信じて拡散してしまう人が跡を絶たなかった。
善意で拡散される救助要請デマたち
災害時は電話がつながりづらくなるが、インターネットでやり取りできるSNSなら利用できることが多い。とくに、2011年の東日本大震災後にTwitter(現X)が注目を集め、自治体もアカウントを作成、災害時に活用するようになった。なお、東日本大震災後に誕生したLINEは、返事ができなくても既読で安否確認ができるように既読機能をつけて生まれている。
ところが、最近のXの仕様変更によってデマが急増することになってしまった。
情報通信研究機構が災害時に収集したXのデータによると、能登半島地震発生後24時間の救助に関する投稿1091件のうち、104件が住所などが実在しない偽情報だった。2016年の熊本地震発生後24時間では、救助に関する投稿573件のうち偽情報は1件だけだったという。Twitter時代と比べ、明らかにデマが急増しているのだ。
収益目当てでデマとインプレゾンビが急増
災害発生直後からXでは、様々なデマが飛び交って混沌とした状態となっていた。なかでも特徴的だったのは、外国人らしきアカウントによるものだ。母国語がアラビア語や英語等外国語なのに、バズった日本語の投稿を自分のものとして写しただけ、いわゆるコピペ投稿しているアカウントが目立っていたのだ。