放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、人柄真打ちの三遊亭好楽、3月で「笑点」卒業の林家木久扇について綴る。
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先日、35年間も喋っているニッポン放送『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』、いつものように生放送をやっていたら、マスクに帽子のおじさんがフラフラッとスタジオに入ってきた。ホワ~ンと勝手に入ってきたからスタッフも誰も止められない。
ちょうどCMに入ったので「なに? おじさん」と言うと「根津から歩いてたら有楽町に来ちゃった」「おじさん私いま仕事中だから。誰なの?」。
本を出して「ホラ私の出版パーティ来れないってハガキもらって。高田さん、花だけは出しとくって書いたでしょ」とマスクをとると三遊亭好楽(『笑点』)。マイペースな男だ。「サインと言葉も書いといたから読んで」。ある意味律気といえば律気なんだが……誰が言ったか「人柄真打ち」。
好楽が出版した『どちら様も、お先でございます』(彩流社)。好楽に私淑する元・新聞記者の聞き書き。人柄のよさだけは充分に伝わる。表紙・裏表紙などの絵は孫たち(息子・王楽の子)。ほのぼのさせてどーする? ていねいにサインがしてあり「自分の半生(反省)です。ご笑読下さい。我が落語界の大恩人高田文夫巨匠さま」とあるのでまあ許すか。
本の最後にいい言葉が書いてある。「笑って損した者はなし」。まったくだ。私もこの言葉を大切に残り……結構ある人生を進んでいきたい。たしか同じ笑点メンバーの小遊三の座右の銘にこんなのがある。「寝ててころんだためしなし」「ハードルは高ければ高いほどくぐりやすい」。