警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、日本における違法賭博事情と、その周辺で起きている収益をめぐる変化について。
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ドジャースの大谷翔平選手の通訳だった水原一平氏の違法賭博疑惑で、米国の賭博事情に注目が集まった。米国は州によって異なり、スポーツ賭博が合法なのは38州、違法になるのはドジャースの本拠地があるカリフォルニア州など12州。2018年まではラスベガスがあるネバダ州のみ合法だったが、各州の訴えにより最高裁で合法とされ一気に広がった。
日本はといえば、当然のことながらスポーツ賭博は法的に禁止で、競馬や競輪などの公営競技とサッカーくじは合法だが、それ以外は違法だ。仲間内で少額を賭けて楽しむような賭けゴルフも実際は賭博行為にあたる。
暴対法や暴排条例の施行以前、暴力団組長主催のコンペが開かれたこともあった。情報を掴んだ警察は高速道路のパーキングエリアや料金所の手前に覆面パトカーを配備し、ゴルフ場も警察官が監視していた。その中でも賭けゴルフは行われ、下手をすれば数十万円など簡単に負けたという。相撲にサッカーに野球は昔から彼らの違法賭博のネタになってきたが、どこでもどんなことでも賭け事にしてしまうのはヤクザの得意とするところだ。
ヤクザの博打といえば賭場だが、常設の賭場を開帳するような組はもうない。時おり完全シークレットで開かれるぐらいだと聞く。賭場に変わって増えたのが違法カジノやオンラインカジノだ。違法カジノは大阪や新宿歌舞伎町に数多く存在するが、警察の摘発を恐れ、早ければ数か月ごとに開催場所を変えるといわれる。だがこの違法カジノ、以前はホテルや某大使館で行われることもあったと指定暴力団の古参幹部は話す。
「リッツカールトンみたいな高級ホテルのスイートルームでカジノを開いていた組もある」と幹部はいう。スイートルームを3週間ほど借りてカジノを開くのだ。「大使館でカジノを開いたという話もあった。小さな国の大使館でも、その敷地内は治外法権。昭和の時代なら、大使館関係者と親しくなればカジノができたのだろう。治外法権だからカジノをやっていようと警察は手出しができない。ヤクザにとってこれほど安全な場所はなかったはずだ」。