◇グレイ役候補の金本泰潤
「いま時代は総監視社会なんていいますが、人目が気になってしまう社会でも自分の信じたもの、信じた道を生きる、ひとつの教訓にもなりうる素敵な漫画だと思いました。
ただ本作でグレイとして何を届けたいかというのは、ぼく自身もずっと迷っていました。最近やっと、自分の過去を認めて、人を信じ、この先生きていくっていうことなんじゃないかとわかりだしたところです。もちろん誰にでも黒歴史ってある。それも全部受けとめて背負って生きていくということかなと感じています」
◇グレイ役候補の萩原隆匡
「原作を読んで、昔から何か新しいことをすると文句を言う人がいるんだな、ナイチンゲールもそうだったんだなって感じました。でも、それをやると何か変わるんだなとも思いました。しかもその側にゴーストがいたっていうのが新しい。それにめちゃくちゃかっこいいんです、佇まいが。“男の理想”みたいな。まさか自分がやるとは思わなかったですが(笑い)。
本作で伝えたいことがあるとすれば、フローは厳格な家庭に閉じ込められてきた人で、グレイは劇場に閉じこもっている人。2人が出会い、フローが突き進む中でグレイも影響されていく。そう考えると、人に影響されるってことはとてもいいことなんだなって感じるんです。そういう単純なことを、生の舞台で感じていただければ」
◇フロー役候補の真瀬はるか
「フローレンス・ナイチンゲールの勇敢な魂を持って突き進んでいく感じが、藤田先生のお描きになる力強い絵とリンクして、読み始めたら止まらなくて一気に読み切ってしまいました。ただ勇敢な魂を持ちながらも同時に揺らぎもあったりして、度胸と愛嬌、いろんな多面性があるひとりの人間なんだなと感じさせてもらいました。
舞台でお伝えしたいことがあるとすれば、信じてみたいものを信じていいし、選んではいけない人生なんてないということでしょうか。たとえば悪役だったとしても、通りすがりの街の男でも、そのときのベストを尽くしてみんなその瞬間を生きているんですよね。私自身がこの物語から肯定感をもらって勇気づけられています」
◇フロー役候補の谷原志音
「もともと漫画が好きじゃない私も、この漫画は読み始めたら終わるまで最後まで止まらなくて。何度も読み返せる作品でした。何より、ナイチンゲールってご存知の通り本当に有名で偉大な方ですが、漫画ではすごくチャーミングに描かれていて、自分に近い部分もたくさんある普通の人間なんだなって思わせてくれました。
フローがグレイに『自分を殺して欲しい』と言って始まるんですが、作品が終わる頃には、役を演じている自分でもその気持ちが変わっているのがわかるんです。それってすごく楽しいこと。だから何も考えずに作品に入っていただければ、みなさんも見終わる頃はすごく何かが変わってると思います」
劇団四季の公式動画では、金本が「号泣必至」と言えば、谷原も「泣けるポイントが2、3回ある」と熱っぽく語り、吉田社長でさえも「最後、本当にうるっときてしまう」と口を揃える本作。自ずと期待が高まるが、「漫画を知っている人はもちろん、漫画を知らない人も、ナイチンゲールを知らない人も楽しんでいただける」とシュワルツ氏は自信をのぞかせる。『ゴースト&レディ』は5月6日、開幕する。
【Information】
劇団四季 最新ミュージカル「ゴースト&レディ」
2024年5月6日(月・休)~11月11日(月)
JR東日本四季劇場[秋]
撮影/五十嵐美弥 取材・文/辻本幸路