悲願の連覇を狙う阪神も苦戦が続く。目立つのが、昨年の日本一の原動力となり、今季開幕戦でもクリーンナップを張った森下翔太(23)、大山悠輔(29)、佐藤輝明(25)の不調だ。1985年の日本一を支えた「バース・掛布・岡田」を彷彿させた昨季の輝きは、すっかり影を潜めている。
主軸の機能不全は深刻だ。4番の大山は打率2割前後で推移し、森下と佐藤は1割台に沈む。
「森下、佐藤は決勝ホームランを打つなど印象的な打撃で貢献しているように見えますが、打線のつながりを欠く原因にもなっている。佐藤は開幕6試合目で6番に降格し、森下は高卒3年目の前川右京(20)に3番を譲る試合もあった」(在阪スポーツ紙デスク)
1999年に野村阪神でバッテリーコーチを務め、星野阪神、岡田阪神で編成部長を務めた黒田正宏氏(76)が語る。
「4番の大山になかなか本塁打が出ず、打線の中心になっていない。それが(チームの)不調の要因やろね。森下も、打てば殊勲打でチームを勝利に導く意外性があるが、確実性が足りない。お祭り男の森下と4番の大山が復調すれば心配ないと思うけどね……」
大山は、コンディション不良でオープン戦の最後の3試合を欠場。「そこでの調整不足から、不調を引きずったままの状態」(前出・在阪スポーツ紙デスク)だという。大卒2年目の森下も、各球団が研究を尽くしたことによる「2年目のジンクス」に直面しているように見える。
サトテルは「改造失敗」?
佐藤はオフに米・シアトルの動作解析施設「ドライブライン」でトレーニングを行なった。
「昨年までも好不調の波が激しかったので、下半身の使い方を重視した安定性のあるフォームへの改造に着手した。しかし、今年も相変わらずで、当たればホームランだが確率が低いまま」(同前)
昨年からサードにコンバートされた守備にも不安が残る。4月7日の試合ではタイムリーエラーで決勝点を献上した。阪神の生え抜き野手として初の2000本安打を達成し、監督も務めた藤田平氏(76)が語る。
「阪神は昨年もリーグ最多の85失策で、守備率もリーグ最下位ですからね。勝敗を分ける場面でのエラーが多い。佐藤が守るサードは、球を体で止めればアウトになるポジションやからね。体を張ってやってほしいわな」
岡田彰布・監督(66)には我慢の時期が続くが、藤田氏はこう評す。
「まだ、オープン戦の不調を引きずっているんやろうね。監督にも選手にも難しい局面だけど、4~5月の取りこぼしは取り返せる。昨年は徹底して選球眼にこだわったが、今季はボール球に手を出して凡打が多い。ここはこだわって継続して、頑張ってもらいたいね」
開幕前に「今年は混戦。最終的に他球団より上におればええんや」と煙幕を張った岡田監督。有言実行となるか。
※週刊ポスト2024年4月26日号