案の定、萩生田氏と森氏は大甘処分の陰で動き出した。安倍派の若手議員の1人が明かす。
「最近、仲間にメシに誘われて行ったら、そこに森先生と萩生田先生がいた。総裁選をにらんで2人を中心に派閥を立て直す考えのようだ」
岸田首相はそこまでお膳立てしたうえで、解散・総選挙に踏み切ろうとしているのだ。
衆院の自公の現有議席は304。総選挙で両党合わせて最大71議席減らしても、ギリギリ過半数で政権は維持できる計算になる。その間に党内の反対勢力を徹底的に追放すれば、たとえ議席大幅減でも総裁再選は可能という岸田首相の独善的な戦略が見えてくる。
裏金問題の責任に頬被りしたばかりか、国民の審判が下って選挙に負けても総理・総裁の座に居座ろうと悪知恵をめぐらせている。だが、その身勝手な目論見が外れれば、権力にしがみつく船長とともに、自民党という船が沈んでいくことになる。
(了。第1回から読む)
※週刊ポスト2024年4月26日号