刑務所内でいじめられる
刑務所に収監された後、水原容疑者にはどんな生活が待ち受けるのか。アメリカの刑務所事情に詳しいジャーナリストは「地獄のような生活が待っている」と語る。
「おそらくロサンゼルスの刑務所に入ることになると思いますが、そこでは麻薬取引や殺人で捕まった凶悪なギャングたちが幅を利かせています。囚人たちは自由にテレビを見られるので、スーパースター・大谷選手を知らない者はいない。仲間を裏切った水原容疑者の評判は、塀の中でも底辺でしょうね。こっちの刑務所では何よりもお金がものをいいます。一文無しでは、囚人からのいじめの対象になるかもしれません」
大谷への接触禁止やパスポートの没収など、さまざまな条件がついた水原容疑者の保釈。さらに裁判所からはギャンブル依存症の治療が課されたが、このプログラムはどう進むのか。昭和大学教授で精神科医の岩波明氏によれば、「自助グループでの活動が中心になる」と言う。
「グループミーティングで仲間のつらい経験談に耳を傾け、自らも語ることで、自分がどういう状況にあるのか客観的に見つめ直していくのです。医者や家族のサポートがあっても、患者とは立場や目線が違うので本音で語り合えません。同じ境遇にある他者の存在がない限り、ギャンブル依存症の克服は難しい」
だが、治療を続けても完治は難しいという。
「たった一杯のビールで元の木阿弥になってしまうアルコール依存症患者と同じです。これくらいなら“遊びのうち”と小さなギャンブルに手を出してしまったことがきっかけで、賭けるときの興奮を思い出してしまう人は多い。治療を始めても半数以上が再びギャンブルに手を出してしまう恐ろしい病なのです」
水原容疑者の刑務所暮らしがいつまで続くかは定かではないが、ずっと近くで見守り続けた大谷と、もう会うことはないであろう。刑務所内のテレビに大谷が映ったとき、彼はどんな思いに駆られるのだろうか。
(了。前編から読む)
※女性セブン2024年5月2日号