希ちゃん

希望の希、まれちゃんと名付けられた

──笑さん夫婦は数々の苦難を乗り越えて子どもを授かった。希ちゃんには障害があり、この後も家族は選択と決断を迫られることとなる。笑さん家族の“いま”を知る松永さんが言う。

「笑さん家族はこの後、さらに大きな試練と向き合うこととなります。しかし、笑さんご夫婦は決して諦めませんでした。

 そして、障害を持った希ちゃんを産み、育てる過程で、笑さんには『利他』の心が芽生えます。

 希ちゃんが多くの人に支えられて生を受けたことをありがたく思い、自分も社会の役に立ちたいと思うようになったのです。笑さんご家族は『特別』かもしれませんが、その『特別』の中に、何か『普遍的』なものが含まれているように思う、というのはそういうことなのです」

笑さん・航さん夫婦

大きな試練と向き合ってきた笑さん・航さん夫婦と希ちゃん

(了。前編を読む

【「障害」という表記については多くの議論がある。「害」という字を含まない「障がい」という表記や、「障碍」(「個人的な原因や、社会的な環境により、心や身体上の機能が十分に働かず、活動に制限があること」デジタル大辞泉より)という表記もある。本記事では、「障害とは、人と社会の接点で生まれるものであり、障害の原因は社会の側にあるのであるから、言葉をぼかす必要はない」という松永さんの考えに沿って「障害」と表記する】

【プロフィール】
松永正訓さん/小児外科医・作家。1961(昭和36)年、東京都生まれ。『運命の子 トリソミー』(第20回小学館ノンフィクション大賞)、『患者が知らない開業医の本音』(新潮新書)ほか著書多数。

※女性セブン2024年5月2日号

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