紅麹を原料とした小林製薬のサプリメントについて、製造工程や衛生管理体制などを確認するため厚労省職員らによって子会社の和歌山工場への立ち入り検査が行われた(3月31日)共同通信社

紅麹を原料とした小林製薬のサプリメントについて、製造工程や衛生管理体制などを確認するため厚労省職員らによって子会社の和歌山工場への立ち入り検査が行われた(3月31日、共同通信社)

新たに18製品の健康被害が報告

 紅麹問題では、サプリメントを含む健康食品の効果効能を“保証する”とされる「機能性表示」という仕組みの問題点も浮き彫りになった。現在、機能性表示食品として消費者庁に届け出があるのは約7000件。問題を受けて、自見英子消費者相は一斉点検の実施を表明した。消費者庁は4月12日、小林製薬の製品以外に、11事業者の18製品で計117件の健康被害報告があったと発表。下痢や湿疹などのほか、入院に至るほどの重篤なケースもあったという。また、これまで届け出された商品のうち、およそ1500製品が届け出を撤回していることも報じられた。

 食品表示アドバイザーの垣田達哉さんが解説する。

「安全性や効果効能については製造する事業者任せで、国の審査は必要ありません。書類上の不備がなければ、届けを出せば受理されてしまう。国が認めているのはあくまで“書類上の情報”だけで、原料や製造過程、安全管理についてもノータッチといっていい」

 申請時には効果を証明するための論文を提出する必要があるが、それすらも“形式的なもの”だと言うのは左巻さんだ。

「科学的根拠を示すためのものですが、この論文すら“作成を請け負う”会社があります。なかには、数十人程度のアルバイト要員を集めて、短期間で調査しただけの結果を論拠としてまとめるという杜撰な内容のものもある。国は一件一件、精査などしないのでそれでも通ってしまうわけです。

 個別に国の審査を受けるトクホ(特定保健用食品)ですら、導入当時は“効果はわずかしかない”と批判されたのに、機能性表示食品は比べものにならないほど制度が緩い」

 パッケージや宣伝の売り文句も、景品表示法で規制はされているものの、グレーゾーンにある表示は多々見受けられる。

「かつて、“潤う”という効果をうたっているコラーゲン飲料のメーカーに、“何がどのように”潤うのかを問い合わせたことがあります。

 コラーゲンというからには肌か髪の毛かと思っていたら、その回答はなんと、“のどが潤う”。ドリンクでのどが潤うなんて当たり前のことですよね。誤解を招くギリギリの宣伝が許されているのが、サプリメントなのです」(左巻さん)

 目に見えた効果や効能がないことがむしろ仇となり、“お守り”のようにのみ続けてしまう人が多いのもサプリメントの特徴だ。

「医薬品には効能があるから、症状が治まれば服薬をやめることになります。サプリメントはそうした効果を望めないことも多々あり、またのんでいるということだけで“健康にいいことをしている”という気持ちになって、漫然とのみ続けてしまう人が少なくない」(垣田さん)

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