小田急線・相模大野駅から徒歩7分。大型商業施設が建ち並ぶ街の一角で商う『カーヴ・ド・アズマヤ』は、アンティーク調の洒落た店構えで、創業が昭和13年の老舗だ。元々は生花店だったが、初代が酒販店に転じてから、今年で86年が経つ。界隈では、一番古い酒屋「東屋商店」を継いだ3代目・座間亮さん(46歳)が妻・絵里奈さんと夫婦で盛り立てる店なのだ。
「戦中は配給所だったこともあります」と語る亮さんの父親で2代目の座間勇さん(77歳)は、「街で知らない人はいない」といわれる名物社長だった。商店街の仲間と相模原に祭りを立ち上げたり、店内でスーパーカーを展示したり音楽会を開催したりするアイデアマンで、「この店は昔から、面白そうなことを相談する場所でしたね」と勇さんの妻・玲子さんは振り返る。
そんな2代目の“粋”と気風を継いだ亮さんは、一度は途切れていた角打ちを10年前に復活させた。
「お酒の販売だけでも楽しいですけれど、店で飲めるようにしたら、この店をもっと好きになってくれるお客さんが増えてきて、ますますやりがいがありますね」(亮さん)
今や「相模大野の社交場だね」(60代・常連)と連日の大賑わいだ。
「この店で地元の友達がどんどん増えてね。ゴルフや山登りとか、一緒に行くようになったよ。遊びの帰りは必ずここに戻って大反省会だね」(60代)との声に、「お客さん同士が仲良くなって、連絡先を交換する姿を見るととても嬉しいです」と亮さん。
40代で店では若手の常連は、「長い歴史があることは知っているから、最初は扉を開けるのにも及び腰だったんですけど…。ここのお客さんは”大人”が多いんです。どの先輩ともオープンに話せるから、安心してまた足が向くんです」とリラックスした表情だ。