『「女ヤクザ」とよばれて──ヤクザも恐れた「悪魔の子」一代記』(西村まこ著)が、清談社Publicoから発売された。ヤクザ関連の著作も多い社会学者の廣末登氏が本の構成や監修等に携わった。西村氏の執筆は、廣末氏との対話を通して過去の記憶を呼び起こしながら進められたが、その内容は長年ヤクザ取材をしてきた廣末氏でも驚くような「“陰湿”な女性特有の“悪”が際立っていた」という。それもそのはず、西村氏は国が認めた日本の裏社会史上初めての“女ヤクザ”なのだ。
西村氏自身は“極悪な過去”を思い出し、体調を崩したほどだった。そんな彼女がなぜ、元ヤクザの更生支援や地域の清掃といった慈善活動に勤しむようになったのか。廣末氏が特に印象に残った西村氏が血気盛んな20代の頃のエピソードを紹介する。【前後編の前編】
──「まこ」というお名前は、本名では無いと聞きましたが。
はい。名古屋市内の中学校に通っていた頃に付いたあだ名が「まこ」でした。私は、現在「西村まこ」と名乗っていますが、本名は和代です。まこの意味は何かというと、悪魔の子──悪魔の「ま」と子の「こ」を取って、「まこ」となったのです。
自分で言うのもなんですが、中学時代から私の所業はエグイものでした。たとえば、不良を気取りたいけれど不良になれない中途半端な同級生がいました。彼女にしたイタズラは「やりすぎたな」という反省とともに鮮明に記憶に残っています。